
イギリス政府は10日、ウクライナに4億5000万ポンド(約840億円)の追加軍事支援を提供すると発表した。イギリスは現在ドイツと共に、ベルギー・ブリュッセルに50カ国が集まる会合の準備中。
ジョン・ヒーリー英国防相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に「圧力をかけて」ウクライナへの侵攻をやめさせるために、各国の国防当局者がブリュッセルに集まるのだと述べた。
「ウクライナの防衛を引き続き強化し、ロシアの侵略を抑止する取り組みを強化しなくてはならない」とも国防相は話した。
ウクライナへの追加支援パッケージには、イギリスが既にウクライナに供与している軍用車両や装備品の修理・メンテナンスに充てる1億6000万ポンドが含まれる。
英政府によると、さらにレーダーシステムや対戦車地雷、多数のドローン(無人機)など、2億5000万ポンド超の「接近戦」軍事援助パッケージも含まれる。
総額4億5000万ポンドのうち約3億5000万ポンドをイギリスが拠出する。イギリス主導のウクライナ国際基金を通じて、ノルウェーも追加資金を提供する。
ヒーリー国防相は追加支援について、「ウクライナをできる限り強い立場に置くために不可欠な」取り組みだと述べた。
「戦争を忘れて平和を危険にさらすことなどできない。だからこそ我々は、今日発表した大規模支援パッケージによって、ウクライナの最前線での戦いへの支援を急増させていく」、「2025年はウクライナにとって重要な年だ」とも国防相は述べた。
「ウクライナの戦士たちが必要としているものを彼らの手に渡すことが、国防相としての我々の仕事だ」
今回の追加拠出は、イギリスの一連の対ウクライナ軍事支援に続くもの。
キア・スターマー英首相は先月2日、ロンドンで開かれた欧州首脳会合の終了後、イギリスとして16億ポンドを拠出し、ウクライナにミサイルを供与すると発表した。スターマー氏はこの前日に、ウクライナへの軍事支援を強化するため、凍結ロシア資産の運用益をもとに22億6000万ポンドを融資することでもウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領との間で合意していた。
英野党・自由民主党は、今回の支援パッケージは「小銭」程度だとし、ウクライナにさらに多く拠出するために、国内のロシア資産を差し押さえるよう政府に求めた。
同党のヘレン・マグワイア国防担当報道官は、「ウクライナへの支援が増えることは歓迎する。しかし、プーチンの野蛮な戦争に対抗するのに必要なものに比べれば、この支援パッケージは小銭程度に過ぎない」と述べた。
ヒーリー英国防相とドイツのボリス・ピストリウス国防相は、11日にベルギーで開かれるウクライナ防衛コンタクトグループの会合で、共同議長を務める。これはもともと、アメリカの国防長官が主催してきたものだった。しかし、ドナルド・トランプ氏が米大統領に就任して以来、アメリカは欧州の安全保障問題から手を引いており、代わりにイギリスの国防相が議長を務めている。
ブリュッセルでは11日の会合に先立ち10日、英仏主導の「融資連合」に参加する30カ国の国防トップが、永続的な平和を確保するためにウクライナ国内に部隊を置くことについて協議した。
ヒーリー氏は、「現在交戦中の双方を接触戦から引き離す」ような「安心部隊」を置くことは想定していないとしつつ、ウクライナ軍の強化が計画において重要な部分になるだろうと述べたと、AFP通信は報じた。
(英語記事 UK announces further £450m military support to Ukraine)