2025年4月20日(日)

BBC News

2025年4月11日

英軍制服組トップのトニー・ラダキン氏(英首相官邸前で撮影)

イギリス国防省は10日、英軍制服組トップのサー・トニー・ラダキン国防参謀総長(海軍大将)が今週、中国を訪問したと明らかにした。英国防参謀総長の訪中は2015年以来10年ぶり。

同省は短い声明で、ラダキン提督が北京で、中国の軍指導者たちと「共通の関心事」について議論したと説明した。

ラダキン提督は、「我々は、国際的な利害関係をもつ、責任ある国同士として、不安定な世界において互いの役割を果たさなくてはならないと合意し、軍同士のコミュニケーションの重要性について熟考した」と、ソーシャルメディアに投稿した。

英国防参謀総長が最後に中国を訪問したのは2015年。

キア・スターマー英首相は就任以来、中国との関係強化に努めてきた。

ラダキン提督の訪中は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が関税の引き上げを発表し、米中貿易戦争が激化する中で行われた。

ジョン・ヒーリー英国防相は10日、ラダキン提督が今週初めに中国を訪れたことを認めた。

「軍と軍が関わり合うことは、どんな時でも良いことだ。(ラダキン提督は)まさにそういう関係を確立していた」と、ヒーリー氏は訪問先のベルギー・ブリュッセルで記者団に話した。

昨年10月には、ディヴィッド・ラミー英外相が中国を訪れた。英外相の訪中は6年間で2人目だった。

中国との協議の中で、ラダキン提督は「インド太平洋地域の平和と安定をめぐる議論において、断固たる態度」をとり、「政治目的の追求に、軍事的な侵略や強硬姿勢を使うことを、懸念している」と中国に伝えたのだと、ヒーリー国防相は述べた。

ヒーリー氏は、台湾については特に言及しなかった。中国は今月初めに台湾周辺で軍事演習を実施。台湾とその周辺地域への挑発行為とみなされている。

中国は台湾について、最終的には自国の一部となるべき分離した省と見なしている。台湾を中国の一部とするため、武力行使の可能性を排除していない。

一方で、台湾住民の多くは、自分たちを中国とは別の国の一部と考えている。他方で多くは、台湾が中国から独立を宣言せず、また統一もされていない現状の維持を支持している。

ラダキン提督は11日にブリュッセルで、ウクライナ和平をめぐる会合に出席し、欧州をはじめとする各国の国防トップと協議する。

(英語記事 UK sends military chief to China for first visit in 10 years

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cn05ggv85y1o


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