2025年4月20日(日)

BBC News

2025年4月14日

ウクライナ・スーミで大学の近くで燃える車両

ウクライナ北東部スーミの中心部で13日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、ウクライナ当局によると、少なくとも34人が死亡、子ども15人を含む117人がけがを負った。死者には少なくとも2人の子どもが含まれるという。

当局よると、午前10時15分ごろ、弾道ミサイル「イスカンデル」の派生型2発が、スーミ市内の大学や大学の会議施設の周辺に着弾した。

被害を受けたのは、教育施設4棟、カフェ、商店、集合住宅5棟を含む計20棟の建物と、車10台、路面電車だという。

着弾地点の周辺道路で撮影されたとみられる画像や映像からは、血のついた遺体が点在している様子がわかる。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は毎晩恒例のビデオ演説で、けが人には今年生まれたばかりの女児もいて、医療関係者が命を救おうと「全力を尽くしている」と述べた。

大統領はさらに、「『枝の主日』に街の中心部が攻撃された」と強調し、「こんなことができるのは完全に狂ったくずだけだ」と非難した(「枝の主日」とは、キリスト教行事の復活祭に至る1週間の始まりを意味する、「イエスのエルサレム入城の日」)。

大統領は、各国に「厳しい」対応を求め、「話し合いで弾道ミサイルや空爆が止まったことは一度もない」、「ロシアはまさにこうしたテロを望んでおり、この戦争を長引かせている。侵略者に圧力をかけなければ、平和は不可能だ」と述べた。

ロシアはこの攻撃について公式にコメントしていない。

市街地で住民らに被害

BBCウクライナ語によると、被害を受けた大学の会議施設は、子どもたちの授業に使われることも多かった。地元住民らもこの施設を「街全体の教育拠点」だったとし、多くの利用があったと説明した。

スーミ当局は着弾したミサイルについて、広い範囲にいる人々を無差別に殺傷するクラスター弾が詰め込まれていたとBBCに話した。

そのため、多くの死傷者が出て、死者が集中していた場所では車両が燃え、木も曲がるなどした。

現場付近にいたナタリアさんは、子どもたちを避難所に連れて行こうと自分の車から降りた直後、車が2発目の攻撃を受けたとBBCに話した。

「避難所への移動が遅れていたら、私たちは車の中にいて、死んでいた」

スヴィトラナ・スミルノヴァさん(51)は、「枝の主日」の行事に参加するため友人らと教会に行った後に攻撃があり、避難所に逃げ込んだとBBCに説明し、「ここでバスが被害に遭い、乗っていた友人がひどいけがを負った。病院で手術を受けているが、まだ意識がない。一緒にいた彼女の息子もけがをした」と話した。

欧米などが非難

世界の多くの指導者らが、この攻撃を非難している。

アメリカのキース・ケロッグ・ウクライナ担当特使は、「良識を越えた」攻撃だと批判。こうした攻撃があるから、ドナルド・トランプ大統領が「この戦争を終わらせるために懸命に働いている」と述べた。

イギリスのキア・スターマー首相も、「おぞましい」攻撃だと非難。「ゼレンスキー大統領は和平への決意を示しており、(ロシアのウラジーミル・)プーチン大統領も今すぐ、ウクライナと同様に、条件なしの完全かつ即時の停戦に同意しなくてはならい」と述べた。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、今回の攻撃で、ロシアに停戦を迫る緊急の必要性が明確になったと主張。

「誰もが知っているとおり、この戦争はロシアが単独で始めた。そして今日、ロシアだけが、人命、国際法、そしてトランプ大統領の外交努力を露骨に無視し、この戦争の継続を選んだのは明らかだ」とソーシャルメディア「X」に投稿した。

英仏の両首脳とも、ウクライナで和平協定を実施させる「有志連合」の計画で協力している。

アメリカは、スティーヴ・ウィトコフ中東担当特使が11日、ロシア・サンクトペテルブルクでプーチン大統領と会談した。クレムリン(ロシア大統領府)によると、会談は4時間以上にわたり、「ウクライナ和平のさまざまな側面」について話し合われたという。

(英語記事 At least 34 people killed in Russian ballistic missile attack on Sumy

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9qwx8r1172o


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