
イギリスで政権交代につながった昨年7月の総選挙について、投票日がいつになるのかをめぐる賭博が行われていた問題で、調べを進めていた賭博委員会は14日、当時与党だった保守党の元議員を含め15人を賭博法違反で起訴した。
賭博委員会は、「総選挙の投票日について立場を利用して得た機密情報、具体的な事前情報を活用し、賭博市場で不当に有利な立場を獲得した」人物たちを、起訴したと説明した。
賭博委員会によると、賭博法第42条違反で起訴された15人は6月13日にウェストミンスター治安判事裁判所に出廷する予定。有罪となった場合の罰則は、罰金か最長2年の禁錮刑という。
15人には、解散・総選挙を決めた当時のリシ・スーナク首相(保守党)の議会担当秘書官だったクレイグ・ウィリアムズ下院議員(当時)が含まれる。ウィリアムズ被告は選挙前、西部モンゴメリーシャー選出の下院議員だった。
起訴された中には、ウェールズ議会のラッセル・ジョージ議員(モンゴメリーシャー選出)も含まれる。所属するウェールズ保守党は、「司法手続きの結果を待つ間」、同議員の党員資格を一時停止すると発表した。
ほかに、保守党の議員候補だったローラ・ソーンダース被告とパートナー、ウェールズ保守党の幹部1人、保守党の幹部4人、元警官1人、ロンドン住民4人、ロンドン近郊の住人1人が、それぞれ起訴された。
ロンドン警視庁によると、起訴された警官は違反行為に及んだとされる時期、王室・要人警護部に勤務していたという。
保守党の広報担当は今回の訴追について、「政治に携わる者は誠実に行動しなければならないと(保守党は)信じている」と述べ、訴追された保守党関係者は「ただちに党員資格を一時停止される」と説明した。
「一連の出来事は昨年5月に起きた。わが党は現在、新しい指導部の下にあり、賭博委員会の調べが速やかに、かつ透明に完了するよう、全面的に協力している」と、広報担当は強調した。
与党・労働党のエリー・リーヴス委員長は、「これは非常に深刻な展開だ。不正行為で有罪判決を受けた者は厳罰に直面することを、イギリス国民は期待するはずだ」と述べた。「ケミ・ベイドノック(保守党党首)は、内部情報を利用してシステムを欺き、私腹を肥やそうとした罪で有罪となった者は、保守党に居場所がないことを明確に示す必要がある。言い訳は一切認められない」とも、リーヴス氏は述べた。
2024年5月22日に当時のスーナク首相は、同年7月4日に総選挙を実施すると発表した。それまでは、総選挙は秋というのが大方の予想だった。総選挙がいつになるか、ウィリアムズ被告が賭けていたと6月に報道された。
ウィリアムズ被告は当時BBCの取材に対し、「明らかに大きな判断ミスを犯したことは確かで、謝罪する」と答えたものの、賭博委員会が調べる間は、投票日を知った上で賭けに参加したのか取材に答えるのは「不適切」だと答えていた。
賭博委員会の調査開始決定を受けて、保守党はウィリアムズ議員(当時)とソーンダース候補(同)の公認を取りやめた。今回起訴されたアンソニー・リー被告(ソーンダース被告のパートナー)とニック・メイソン被告はそれぞれ昨年6月の時点で党関係者だったが、総選挙の選挙期間中にこの賭博疑惑が浮上した後、党の役職を休職した。
メイソン被告は現在ヘレフォードシャーの市議会議員。市議会の保守党議員団から党員資格を停止され、現在は無所属として議席を維持している。
(英語記事 Ex-MP Craig Williams among 15 charged with betting offences)