
米カリフォルニア州北部の一部地域で12日、複数の歩行者用信号機がハッキングされ、ドナルド・トランプ大統領の側近で富豪のイーロン・マスク氏や、米メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の声に似せた音声の偽メッセージが流れた。
シリコンヴァレー各地の当局は、歩行者用信号機の音声機能を無効にし、この件を調査している。信号機からは通常、「渡れ」、「待て」という音声指示が流れる。
ところが、同州パロアルト、レッドウッドシティ、メンローパーク(メタ本社所在地)では、先週末にかけてフェイク・メッセージが流れた。
マスク氏のなりすましメッセージの中には、自分と友達になってくれれば、CEOを務めるテスラ社のピックアップトラック・タイプの電気自動車(EV)を買ってあげると持ちかけるものもあった。
偽のザッカーバーグ氏からのメッセージは、「本物は私を『ザ・ザック』と呼んでいる」などという内容だった。
誰がこれらのメッセージを作成したのかや、歩行者用信号機からどうやって音声を流したのかは分かっていない。
被害を受けた地域の当局者は、歩行者用信号機がどのように手を加えられたのか、エンジニアらが調べていると、BBCに語った。
カリフォルニア州の運輸当局のスポークスマン、ペドロ・クインタナ氏は、メンローパークとパロアルトの約10カ所が影響を受けたと述べた。
歩行者用信号機の音声は現在、タイマーで一定間隔で作動している。偽メッセージが流れた信号機のボタンは無効になっていると、クインタナ氏は述べた。
偽ザッカーバーグ氏は「AI挿入」を語る
こうしたメッセージは、マスク氏とザッカーバーグ氏がビジネスを展開するシリコンヴァレーの各地で確認された。
マスク氏のフェイク・メッセージの一つは、テスラが拠点を置くパロアルトで人々を歓迎した。
「幸せはお金で買えないと言うけど(中略)それは本当だと思う。私がそれを試したかは、神だけが知っている」というメッセージが流れる様子の動画は、ソーシャルメディア上で何度も共有された。
偽のザッカーバーグ氏の音声の一つは、自己紹介から始まり、「あなたの意識的な経験のあらゆる面に」AI(人工知能)を挿入する計画などについて語っている。
両氏とも、この出来事についてコメントしていない。
パロアルト市はBBCに対し、繁華街にある少なくとも12カ所の横断歩道の信号機に手が加えられたと語った。
同市の広報担当メガン・ホリガン・テイラー氏によると、職員の1人が信号機の音声機能が正しく作動していないことに気づき、13日に別の職員に報告した。信号機がいじられたのは12日だったと考えていると、同氏は付け加えた。
「市職員は修理が完了するまでの間、音声機能を無効にした」
「市内のほかの信号機を調べたところ、影響が限定的なものだったことが分かった」
レッドウッドシティでも、いくつかの交差点でマスク氏とザッカーバーグ氏のフェイク音声が流れたと報告されていると、地元メディアは伝えた。
(英語記事 Hacked pedestrian crossings play fake messages from Musk and Zuckerberg)