2025年4月22日(火)

BBC News

2025年4月16日

迷彩服を着て赤いベレー帽をかぶった戦闘員たちが、ロケット弾の積まれた車両の上に乗っている

スーダンの準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」は15日、国軍に対抗する独自政府の樹立を宣言した。スーダンでは2023年4月以来、RSFと国軍の権力闘争を発端とした内戦が続いており、世界最大の人道危機が発生している。この日、内戦は開始から3年目に入った。

RSFを率いるモハメド・ハムダン・ダガロ司令官(別名「ヘメティ」)は、同組織が「スーダンで唯一、現実的な未来を築いている」と述べた。

また、RSFは「法の支配」を築いていて、個人が支配する国家ではないと述べた。

メッセージアプリ「テレグラム」で発表された声明で同司令官は、「我々は支配を求めるのではなく、団結を求める。いかなる部族、地域、宗教も、スーダンのアイデンティティーを独占することはないと信じている」とした。

さらに、RSFは支配地域だけでなく、国全体に教育や医療などの基本的なサービスを提供すると付け加えた。

戦争が始まって2年が経過し、軍とRSFの双方が集団虐殺(ジェノサイド)や集団性的暴力を含む戦争犯罪で非難されている。

ヘメティ氏とスーダン軍のアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍との権力闘争によって、これまでに15万人以上が殺され、1200万人以上が避難を余儀なくされるなど、人道危機が発生している。

スーダン軍は先に、北ダルフール州の州都エル・ファシールの近くにあるRSFの拠点を爆撃。慈善団体「国境なき医師団(MSF)」によると、この攻撃により、近くのザムザム難民キャンプにいた民間人数万人が、70キロ離れたタウィラまで歩いて非難しなければならなかったという。

また、多くの人々が重度の脱水症状に陥り、死亡した子供もいると報告されている。

一方、国連は14日、「信頼できる情報源」からの情報として、RSFによる同地域への最近の攻撃で、400人以上が殺されたと発表した。

RSFは先週、スーダン軍がダルフール州で最後まで保持している同市を奪取しようと、激しい地上攻撃と空爆を行った。

人道支援機関は、エル・ファシール周辺の仮設キャンプで70万人以上が飢餓に似た状況に直面していると報告している。治安が悪く、道路にバリケードが張られていることが、重要な支援物資の運搬を妨げているという。

ロンドンで「和平の道」模索する高官会議

英ロンドンではこの日、スーダン内戦が丸2年を迎えた節目として、イギリスと欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)が共同主催する高官会議が開かれた。デイヴィッド・ラミー英外相は、「和平への道」を呼びかけた。

イギリスは1億2000万ポンド(約226億5000万円)相当の食料と医療支援を追加で約束し、世界にスーダンを見捨てないよう呼びかけた。

ラミー外相は、「多くの人がスーダンを見放しているが、それは間違っている。多くの民間人が斬首され、1歳の幼児が性的暴力を受け、世界のどこよりも多くの人々が飢餓に直面しているときに、それは道徳的に間違っている。我々は単に目を背けることはできない」と訴えた。

会議では、即時かつ恒久的な停戦も求められた。AUは、スーダンが国軍とRSFによって分割されるのを許さないと述べた。

(英語記事 Paramilitaries declare rival government in Sudan

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c9w8dprxyylo


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