
イスラム組織ハマスは17日、パレスチナ・ガザ地区での戦争を終結させ、パレスチナ人収監者を釈放するのと引き換えに、ガザに残るイスラエル人の人質全員を解放する取引について、直ちに交渉を開始する用意があると表明した。イスラエルは人質10人の解放と引き換えに、戦闘を45日間停止する案を示していたが、ハマスはこれを正式に拒否した。
ハマスの交渉担当者ハリル・アル・ハイヤ副代表はビデオ声明で、ハマスは「(イスラエル首相のベンヤミン)ネタニヤフの政治的目的のためにするような部分的取引は、受け入れない」と述べた。
ガザでは今も、イスラエル人の人質59人が拘束されている。うち24人は生存しているとみられる。
イスラエルの極右政治家、ベザレル・スモトリッチ財務相は、ハマスに対して「地獄の門を開く」時が来たと述べた。
ハマス幹部は今週初め、イスラエル案を拒否する意向をBBCに示していた。
「ネタニヤフとイスラエル政府は、部分的な合意を、自分たちの政治的アジェンダの隠れみのにしている。そのアジェンダとは、囚人(人質)全員を犠牲にしてでも、絶滅と飢餓を招く戦争を継続することに基づいたものだ」と、アル・ハイヤ氏は述べていた。
さらに、ハマスは「人質全員と、釈放することで合意した人数のパレスチナ人を交換し、戦争を終結させるための取引について、直ちに交渉を開始する用意がある」と付け加えた。
ハマスは以前、戦争を終結させるための全体的な取り決めを検討するつもりだとしていた。しかし、ハマスとイスラエルは現時点で、そうした合意には至っていない。
イスラエルはハマスの完全な武装解除と破壊を目標に掲げている。こうした中、ガザでは1日に数十人ものパレスチナ人が、イスラエルの空爆で殺害されている。また、ガザに人道支援が入らない状況が続いている。
イスラム組織ハマスが運営する民間防衛隊によると、17日のイスラエルによる空爆で少なくとも37人が殺害された。その大半は、避難民が集まるテント地帯に身を寄せていた人たちだという。
複数の目撃者はガザ南部アル・マワシへの空爆について、「強力な」爆発の後にテントが炎に包まれ、子供を含む数十人のパレスチナ人が殺害されたとBBCに語った。
一人の男性は、「慌てて外に出ると、隣のテントが炎に包まれていた」と、BBCアラビア語放送の番組「ガザ・ライフライン」に語った。
イスラエル軍は空爆について即座にコメントしなかったが、空爆に関する報告を確認しているとした。
イスラエルは数週間前に、ガザのほかの地域の住民に対し、アル・マワシに避難するよう指示していた。
イスラエル軍は17日に声明で、過去2日間の攻撃で「テロ拠点や軍事施設、インフラ施設」を含む「100以上のテロ標的を攻撃した」と述べた。
イスラエルはハマスに人質を解放するよう圧力をかけ、ガザの封鎖を継続すると表明している。1月半ばから3月半ばまでの停戦中に約2万5000台のトラックが支援物資をガザに運び入れており、物資不足はないと、イスラエルは主張している。
しかし、国際NGOオックスファムやセーブ・ザ・チルドレンなど、12の主要援助団体の代表は17日、ガザの人道援助システムが「完全な崩壊に直面している」と述べた。
イスラエル軍は、2023年10月7日のハマスによる越境攻撃を受けて、ハマス壊滅作戦を始めた。ハマスによる攻撃では、イスラエルの約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。
ハマス運営のガザ保健省は、イスラエルが作戦を開始して以降、ガザで少なくとも5万1065人が殺されたとしている。