
レモンとアールグレイの茶葉を練り込んだブリオッシュが、「今年のイギリス最高のパン」に選ばれた。
趣味としてパン作りを始めた青悦美代さん(55)にとって、今月8日に発表された今回の受賞は2度目。2023年にも、抹茶とホワイトチョコレート、フルーツで風味付けされた緑色のパンで最優秀賞を受賞した。
英中部ダービーシャー州ダーリーデールの自宅で「クマサン・ベイクハウス」を営む青悦さんは、企業に届けるパンのほか、予約制でパンを焼いている。
青悦さんはBBCの取材に対し、最優秀賞の受賞はとてもうれしいと話し、「受賞した時は何も言えなかった。とても、とても嬉しくて、ステージで叫びそうになった」と付け加えた。
業界誌「ブリティッシュ・ベイカー」が主催する「イギリス最高のパン」コンテストで、青悦さんのブリオッシュは、トップの「今年のイギリス最高のパン」のほか、イノベーション部門も受賞した。
審査員らは、200種類のパンを押しのけて勝利したこのパンについて、アールグレイの茶葉とリモンチェッロに漬けた砂糖漬けレモンピール、レモンカードと果汁を組み合わせた「さわやかで香り高い仕上がり」の「独特の風味」に感動したと述べた。
青悦さんは、リモンチェッロがパンを「キリッと」させたのに加え、秘密の材料は日本の柑橘(かんきつ)類の「ユズ」だと話した。
また、「ここ数年、日本ではアールグレイとレモンなどの柑橘類の組み合わせがとても流行していて、その味付けのケーキやクッキーがたくさん作られている」と説明。
「そこで、この組み合わせでパンを作ろうと考え始めた。(中略)焼き菓子に使う時の、紅茶のほのかな香りが好きだ」と述べた。
しかし、最初から完璧な焼き上がりではなかったと青悦さん付け加えた。満足のいくものができるまで「約45個のパン」を作ったという。
「コンテストに出す準備ができるまで、何度も何度もパンを焼いた」
4月8日に2度目の受賞を果たした青悦さんは、「いつもチャンスはあるけれど、実現するとは思っていなかった。(中略)名前が呼ばれた時は何も言えなくなったけれども、努力が報われたので本当に嬉しくて幸せだった」と語った。
徳島県出身の青悦さんは、英マンチェスター大学で学ぶために初めてイギリスにわたり、そこで夫と出会った。
その後、2人はルクセンブルクとフランスに住み、青悦さんはフランスパンの味を覚えた。自分でパンを焼き始めたのは、イギリスに戻った後だという。
この権威ある賞は、青悦さんが2023年に緑色のパンで受賞して以来、ダービーシャーを離れていない。
昨年は、同州チェスターフィールド近郊のスタヴリーにある「4アイズ・ベーカリー」が、ガーリックとローズマリーのディープパン・フォカッチャで受賞した。
青悦さんは「この賞がこの場所に留まっているのは素晴らしいことだ」と語った。
「昨年受賞したトムさんは優れたパン職人で、この賞が州に留まっているのはうれしい」
「この賞がまだダービーシャーにあるのは素晴らしいことだと思う。この地域のパンの品質は、とても素晴らしいので」
次の創作について青悦さんは「私はいつも、西洋と日本の文化を自分のパン作りの中で組み合わせられないかと思っている(中略)常に実験をしている」と語った。