2025年5月23日(金)

BBC News

2025年4月25日

ガザ中部デイル・アル・バラフにある国連のゲストハウス。攻撃を受けて壁などが損傷している

パレスチナ・ガザ地区中部の国連施設が先月に攻撃を受け、国連職員が死傷した問題で、イスラエル国防軍(IDF)は24日、責任を認めた。IDFは当初、関与を否定していた。

ガザ中部デイル・アル・バラフでは先月19日、国連施設が攻撃を受け、国連職員1人が死亡した。IDFは同地域には空爆していないとしていた。

しかし、IDFは一転して責任を認めた。この事案に関する初期調査で、IDF部隊が当該施設に「敵がいる」と誤認し、国連職員の殺害につながったことが示されたと、IDFは発表した。

IDFは声明で、「この建物は、敵がいると判断されたため攻撃された。部隊は国連施設だとは認識していなかった」と説明した。

IDFによると、予備的な調査結果は国連に共有した。今後、完全な結論も国連に提示する。

「IDFはこの深刻な事案を遺憾に思う。作戦上の教訓を得て、将来このような事態を防ぐための追加措置を評価するため、徹底的な検証作業を続けていく」と、IDFは付け加えた。

「我々は犠牲者に深い悲しみを表明すると共に、遺族に哀悼の意を表する」

当初は攻撃否定、国連は「事故ではない」と

先月の攻撃では、ブルガリア人の国連職員マリン・ヴァレフ・マリノフ氏が死亡し、ほかに5人の国連職員が重傷を負った。イスラエルはこの前日に、イスラム組織ハマスとの停戦合意崩壊を受けてガザ攻撃を再開していた。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は当時、この件の全容解明を求めた。国連報道官は、「全ての国連施設の位置は、紛争当事国に知らせている。紛争当事国は国際法に基づき、その施設を保護し、その絶対的な不可侵性を維持する義務を負っている」と述べた。

国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)は、「遠隔」地にあるゲストハウスに「爆発物が投下あるいは発射された」と発表していた。ホルヘ・モレイラ・ダ・シルバ代表は、「これは事故ではない」と述べていた。

IDFは攻撃当日に声明で、「報道とは異なり、IDFはデイル・アル・バラフの国連施設を攻撃していない。検証されていない報道について慎重に行動するよう、報道機関に求める」とした。

BBCが検証した動画には、国連の青い防弾チョッキを着た2人が負傷し、救急車と国連の車で病院に到着する様子が映っている。

イスラエルのガザ攻撃では、救急隊員も犠牲になっている。先月23日にパレスチナ赤新月社(PRCS)の救急隊員ら15人が殺害されたことについて、IDFは20日、「職務上の誤り」が原因だったと発表した

1月半ばから発効した停戦合意が崩壊し、イスラエルが3月18日にガザへの攻撃を再開して以来、少なくとも1978人が死亡したと、ハマス運営のガザ保健省は24日朝に発表した。この日、ガザ各地ではイスラエルの空爆があり、少なくとも50人の死亡が報告された

ガザには59人の人質が残り、そのうち24人が生存しているとみられている。イスラエルは残りの人質を解放するよう、ハマスに軍事的圧力をかけているとしている。

イスラエルはまた、ガザへの人道援助やそのほかの物資の搬入をすべて、7週間にわたり遮断している。国連は、「人が生存するための手段をますます奪い、市民生活のあらゆる側面を損なっている」と指摘している。

イスラエル軍は、2023年10月7日のハマスによる越境攻撃を受けて、ハマス壊滅作戦を始めた。ハマスによる攻撃では、イスラエルの約1200人が殺害され、251人が人質に取られた。

ガザ保健省によると、イスラエルが作戦を開始して以降、ガザで5万1350人以上が殺された。

(英語記事 Israeli military admits its troops killed UN worker in Gaza Strip

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cjdx819gk7jo


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