
ロシアの連邦捜査委員会は25日、モスクワ近郊のバラシハで自動車が爆発してロシア軍参謀本部幹部が死亡したと発表した。殺人事件として捜査を開始したという。
ロシア連邦捜査委員会(SK)によると、フォルクスワーゲン・ゴルフの乗用車が爆発し、軍参謀本部作戦総局次長のヤロスラヴ・モスカリク中将が死亡した。
調べによると、ペレットを詰めた即席爆発装置が爆発したのだという。
地元メディアの報道によると、車はバラシハ東部郊外にある中将の自宅の横に駐車されていた。中将がその前を通過した際に爆発したという。
通信アプリ「テレグラム」には、集合住宅が並ぶ前の路上で燃え上がる乗用車の写真や動画が多数投稿された。
ロシア大統領府(クレムリン)のドミトリー・ペスコフ報道官は、今回の攻撃はウクライナによるものだと非難。「キエフ(訳注:ウクライナ政府の意味)は依然として、我が国の中でテロ活動に関与し続けている」と述べた。ウクライナ側はコメントしていない。
モスカリク中将は、2015年にロシア参謀本部を代表してパリでウクライナの代表と会談。その結果、 ロシアが後押しする分離派勢力とウクライナとの間で2014年に始まった戦争を終わらせるためのミンスク合意が成立した。
クレムリンのウェブサイトによると、中将は当時、セルゲイ・ラヴロフ外相やクレムリンの補佐官で元駐米ロシア大使のユーリ・ウシャコフ氏が率いるロシア代表団の一員だった。
ウクライナ政府は一貫した方針として、特定の標的を対象にした攻撃について、公式には決して実行を認めない。
ただし、2014年12月にモスクワでロシア軍の放射線・化学・生物学防護部隊のトップだったイーゴリ・キリロフ中将が殺害された事件など、同様の暗殺事件について、ウクライナ保安局(SBU)の情報筋は自分たちが関与したとBBCに明らかにしている。ただし、こうした情報を実名で公に認めるウクライナ政府関係者は今のところいない。
今回の出来事は、ドナルド・トランプ米大統領の特使スティーブ・ウィトコフ氏が25日にモスクワで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談する前に起きた。
ラヴロフ外相はこれに先立ち、ウクライナでの戦争を終わらせるためにロシアはアメリカと「合意する用意がある」ものの、いくつかの要素については「微調整が必要」だと話していた。
一方、ウクライナでは、首都キーウのヴィタリー・クリチコ市長が、和平協定の一環としてウクライナは「一時的」に、領土の一部を放棄する必要があるかもしれないとの考えをBBCに示した。
ウクライナへのドローン(無人機)攻撃は24日夜から25日未明にかけても続いた。
ウクライナ空軍によると、東部ドニプロペトロフスク州の町パヴロフラドがロシアのドローン103機で攻撃された。子ども1人と76歳の女性1人を含む3人が殺害されたという。
ウクライナ北東部ハルキウも攻撃され、イーゴリ・テレホフ市長によると複数の民間の建物が被害を受けた。