
イギリス王室のアンドリュー王子と、性的人身取引で起訴された米富豪ジェフリー・エプスティーン元被告(2019年に拘置所で死去)から性的被害を受けたと訴えた、アメリカ人女性ヴァージニア・ジュフリーさん(41)が死去した。自死だったと、家族が25日に発表した。豪・西オーストラリア州で暮らしていた農場で、24日に亡くなったという。
家族はコメントで、ジュフリーさんが「性的加害に対する戦いを勇猛に戦っていた。虐待を生き延びた多くのサバイバーを救った光だった」ものの、「虐待による負担が(中略)もはや、耐え難いものになってしまった」のだと説明した。
「性的加害と人身売買の被害に長年苦しんだ彼女は、自死によって命を落とした」と、家族は明らかにした。
西オーストラリア州の警察は、25日夜に、ノース・パース郊外ニールガビーの農場の家で女性に反応がみられないと、通報を受けたと明らかにした。「残念ながら、41歳の女性は現場で、すでに死亡していると宣告された」、「刑事部の捜査員が調べているものの、現時点では不審な死とは考えられていない」と警察はコメントした。
ジュフリーさんは22年前に結婚した夫ロバートさんや子供3人と同所で暮らしていたが、最近では夫妻が離婚したとも言われていた。
ジュフリーさんは3週間前、自動車事故で重傷を負ったとインスタグラムに投稿していた。ただしこれについて家族は、本人は事故を公表するつもりではなかったと説明。現地警察は後に、ジュフリーさんが言うほどの規模ではなかったと述べていた。
人身売買の被害を訴え
ジュフリーさんは、エプスティーン元被告とギレイン・マックスウェル受刑者(2022年に人身売買などで禁錮刑判決)からの被害について、最も積極的に公に発言していた一人。17歳の時に二人によってヨーク公アンドリュー王子に売られ、性行為をさせられたと主張した。
アンドリュー王子はこれを強く否定している。ジュフリーさんはアメリカで王子に対する民事訴訟を起こした。双方の弁護士は2022年2月、両者が「大枠で和解」したと発表した。
ジュフリーさんは、10代の頃に性的人身売買の被害者になったと話していた。イギリス社交界の著名人だったマックスウェル受刑者と2000年に知り合った後、エプスティーン元被告を紹介され、彼とその仲間から何年にもわたる虐待を受けたと主張した。
エプスティーン元被告は2008年、未成年者から買春した罪で有罪となった。2019年8月、大勢の少女の性的人身取引罪で起訴され拘束されていたニューヨーク市内のメトロポリタン矯正センターで意識不明になっているのを発見され、間もなく死亡した。後に、自殺と断定された。
エプスティーン元被告による人身売買や加害に加担した罪で、マックスウェル受刑者は2022年に禁錮20年の実刑判決を受けた。
(編集部注・ Jeffrey Epstein被告の姓は、日本語メディアで「エプスタイン」と表記されることもありますが、BBCでは当人を知る関係者たちの発音に近い「エプスティーン」と表記しています)
(英語記事 Virginia Giuffre, Prince Andrew and Jeffrey Epstein accuser, dies by suicide)
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