2025年5月23日(金)

BBC News

2025年4月26日

機内で記者団を前にしたトランプ米大統領

ドナルド・トランプ米大統領は25日、ロシアとウクライナが「合意にとても近い」と記者団に話した。

この数時間前には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアメリカのスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が、モスクワで3時間にわたり会談していた。

トランプ氏は、26 日に催されるキリスト教カトリック教会の教皇フランシスコの葬儀のためイタリアに到着した際、交渉の「良い一日」だったと話した。

ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官は、プーチン氏とウィトコフ氏の会談について、「建設的で非常に有益」だったとし、ロシアとウクライナの直接協議の再開が主な議題になったと説明した。ウィトコフ氏の訪ロは今年4回目。

他方、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は25日夜、毎晩のビデオ演説で、ロシアに無条件停戦を受け入れさせるため、「ロシアに本格的な圧力をかける必要がある」と述べた。

これに先立ちゼレンスキー氏は同日、BBCに対して、「完全かつ無条件な停戦」が合意されれば、ウクライナとロシアの間の領土問題は協議可能だと話していた。

ロシアのウシャコフ大統領補佐官は、プーチン大統領とウィトコフ米特使の25日の会談によって、「ウクライナだけでなく、他のさまざまな国際問題についても、ロシアとアメリカの立場が近づいた」と述べた。

また、「ウクライナ危機に関しては、ロシアとウクライナの代表による直接対話の再開の可能性が、特に議論された」とした。

両国の直接対話については、プーチン氏が今週、前向きな姿勢を示した。実現すれば、今回の戦争初期以来となる。

アメリカ側は、この日の会談の詳細を発表していない。トランプ大統領は会談後、ロシアとウクライナの和平に向けた取り組みは「順調に」進んでいると述べた。

アメリカの和平案は公表されていないが、報道によると、ロシアが掌握している土地の大部分をウクライナが手放すという、ロシアに好都合の内容とされる。ロシアは現在、ウクライナ領の約2割を掌握している。

クリミアが焦点

トランプ氏はウクライナに対し、戦争を終わらせるために領土に関して譲歩するよう圧力を強めている。ロシアが2014年に不法併合したクリミア半島については、ロシアが掌握し続けることを支持する考えを示している。

ゼレンスキー大統領はこれまで、この考えに反対している。25日にも記者団に、「私たちの立場は変わらない。ウクライナの領土を決める権利をもつのはウクライナ国民だけだ」と強調した。

ただ、ゼレンスキー氏はその後のBBCの取材で、「完全かつ無条件の停戦が実現すれば、すべてについて話し合う可能性が出てくる」と発言。「領土問題」も議題になり得るとの考えを示した。

また、トランプ氏が米誌タイムのインタビューで、「クリミアはロシアに残る」と述べたことについて、「トランプ大統領が言っていることは真実だ。クリミア半島の支配を取り戻せるだけの武器を私たちが現時点で持っていないという点で、私は彼に同意する」と述べた。

和平合意は近いとトランプ氏

ウィトコフ氏とプーチン氏の会談が進んでいたころ、トランプ氏はアメリカで記者団に、「多くのことが話し合われている。最終的には、関税や貿易に関する取引を含め、多くの良い取引がまとまると思う」と述べた。

トランプ氏はまた、ウクライナでの戦闘終結を目指しているとし、和平合意に「かなり近づいている」との認識を示した。

トランプ氏はその後、自らのソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルに、ゼレンスキー氏が「アメリカとの、非常に重要なレアアース取引に関する最終文書」に署名していないと投稿。「少なくとも3週間は遅れている」とし、「今すぐ」署名することを望むと付け加えた。

ゼレンスキーはロシアへの圧力求める

ゼレンスキー氏は25日、ソーシャルメディアへの投稿で、アメリカが3月11日に示した30日間の停戦案にロシアが同意しなかったことを批判し、こう書いた。

「ウクライナが、空と海と前線を静かにするというトランプ大統領の提案に同意してから、45日がたった」、「ロシアはすべてを拒否している。圧力なしには解決できない。ロシアへの圧力が必要だ」。

ゼレンスキー氏はまた、ロシアが北朝鮮などからミサイルを輸入することが可能になっていると主張。12人が殺害された24日のキーウへの攻撃でも使われたとした。

同氏は、「キーウ住民を殺害したミサイルには、他国から輸入した部品が少なくとも116個使われていた。残念ながらそのほとんどは、米企業によって作られていた」と書き込んだ。

この日のキーウ攻撃をめぐっては、トランプ氏がソーシャルメディアへの投稿で、プーチン氏に向けて「ウラジーミル、やめろ!」と直接呼びかけた

しかしトランプ氏はその後、米誌タイムで、戦争を始めたのはウクライナだとあらためて非難。「(ウクライナが)NATO(北大西洋条約機構)加盟についての話を始めたことで、戦争が始まったと思う」とした。

モスクワで自動車爆弾

モスクワでは25日、ウィトコフ氏とプーチン氏の会談を前に、自動車に仕掛けられた爆弾が爆発し、ロシア軍幹部が死亡した

クレムリン(ロシア大統領府)は、ウクライナによるものだと非難した。ウクライナ側はコメントしていない。

ロシア西部ベルゴロド州でも、ウクライナによる攻撃で2人が殺害された。現地当局が明らかにした。これについても、ウクライナはコメントしていない。

ロシアは2022年2月にウクライナへの本格侵攻を開始した。

(英語記事 Putin and Trump envoy had constructive meeting, Russian aide says

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cwynvyjpl5vo


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