
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とアメリカのドナルド・トランプ大統領は26日午前、キリスト教カトリック教会の教皇フランシスコの葬儀を前にヴァチカンで会談した。 両政府の関係者が認めた。教皇の葬儀は同日午前10時(日本時間午後5時)から始まり、約2時間続いた。
ホワイトハウスによると、両大統領は聖ペトロ大聖堂の中で、葬儀ミサを前に15分間、会談した。 ホワイトハウスは会談を「非常に生産的」なものと評した。協議内容の詳細は明らかにされていない。
ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領首席補佐官は、両大統領がいすに座って向き合う場面の写真を公開した。
両大統領が対面するのは、2月28日にホワイトハウスの大統領執務室で、記者団を前に口論して以来だった。
教皇の葬儀ミサが終わって間もなく、トランプ大統領を乗せた大統領専用機は26日午後、ローマを出発した。トランプ氏はローマ郊外のレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港で、手を振ってから専用機に乗り込んだ。
ゼレンスキー大統領は葬儀ミサの後、トランプ大統領との会談についてソーシャルメディア「X」に投稿。「私たちは一対一で、たくさんのことを話し合った。二人で話題にしたすべてについて結果が出るよう望んでいる。私たちの国の人たちの命を守ること。完全かつ無条件の停戦。またしても戦争が起きるのを防ぐ、信用できて恒久的な平和。もし共同で成果を出せれば、これは歴史的なものになり得る、非常に象徴的な会談だった。米大統領、ありがとう」と、ゼレンスキー氏は書いた。
ゼレンスキー氏は教皇の葬儀の後、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とイギリスのキア・スターマー首相とそれぞれ個別に会談した。
トランプ大統領はその後、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「この数日、プーチンが民間の地区や都市や町にミサイルを撃ち込む理由などなかった。こうなると、もしかして彼は戦争をやめたいわけではなくて、ただ私をいいようにあしらっているだけで、『金融』とか『二次制裁』とか、別の形で相手をする必要があるのかもしれないのか? あまりに死ぬ人が多すぎる!!!」と書いた。
各国首脳と並び参列
トランプ大統領とゼレンスキー大統領は、ウィリアム英皇太子、キア・スターマー英首相、エマニュエル・マクロン仏大統領を含む各国の国家首脳や王室関係者らとともに、ヴァチカンの聖ペトロ広場で行われた葬儀に参列した。
ウクライナのイェルマーク大統領首席補佐官が公開した別の写真には、トランプ氏、ゼレンスキー氏、マクロン氏、スターマー氏が大聖堂内で肩を寄せ合って言葉を交わす様子が写っている。
各国代表は、葬儀が始まるまで聖ペトロ大聖堂に安置されていた、棺(ひつぎ)に納められた教皇を弔問した。弔問を終えたゼレンスキー大統領が、聖職者や一般参列者が数万人集まった広場に出ると、拍手がわき上がった。
これに先立ちトランプ大統領は、葬儀参列のためにイタリアに到着した際、ロシアとウクライナが和平をめぐる「合意にとても近い」と専用機内で記者団に話した。
その数時間前には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアメリカのスティーブ・ウィトコフ中東担当特使が、モスクワで3時間にわたり会談していた。
ロシアのユーリ・ウシャコフ大統領補佐官は、プーチン氏とウィトコフ氏の会談について、「建設的で非常に有益」だったとし、ロシアとウクライナの直接協議の再開が主な議題になったと説明していた。