
スティーヴ・ローゼンバーグ・ロシア編集長
停戦は、どのような時に平和に向けた真の試みになり、どのような時に単なる広報になるのか。
最近よく耳にする問いだ。
そしてほとんどの場合、ロシアの大統領に関連している。
短期間の停戦が、クレムリン(ロシア大統領府)の常とう手段になりつつある。
最初は、復活祭(イースター)にかけてだった。ウラジーミル・プーチン大統領は30時間の敵対行為の停止を宣言し、「人道的」な対応だとアピールした。
そして今回、プーチン氏は5月初旬に3日間停戦すると、一方的に発表した。期間は5月8日から10日までで、第2次世界大戦終結80周年を記念する行事に合わせたものとなる。
クレムリンは声明で、72時間にわたって、すべての軍事行動を停止するとした。今回も(また)「人道的」な配慮だとし、ウクライナがこれにならうことをロシアは期待していると表明した。
この提案に対し、ウクライナは、なぜすぐに停戦にしないのかと疑問を呈した。そして、最短でも30日間の停戦を実施するよう求めた。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は、「ロシアが本当に平和を望むのなら、直ちに停戦にすべきだ」、「なぜ5月8日まで待つのか?」と問いを投げかけた。
では、今回の停戦の宣言は、3年以上前にウクライナへの全面侵攻を始めたプーチン氏からの、戦闘を終わらせようとする誠実な努力といえるのだろうか。
それとも、アメリカのドナルド・トランプ大統領によい印象を与えるための、クレムリンによる広報活動に過ぎないのだろうか。
ロシアに批判的な人々は、広報活動だとみるだろう。
極めて短時間だった「復活祭停戦」の間、ウクライナはロシア軍が何度も停戦に違反したと非難した。
ロシアは、30時間の戦闘休止を発表することで、「この戦争でロシアは平和の創造者であり、ウクライナが侵略者だ」というイメージを、米ホワイトハウスに与えようとした。ロシアは、自分たちが差し出した「オリーブの枝(和平の提案)」をウクライナが無視し、戦争を長引かせていると非難した。
トランプ氏の受け止めは
しかしトランプ氏の最近の発言からは、彼がそれを信じていないことがうかがえる。
トランプ氏は先週末、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」への投稿でプーチン氏について、「ここ数日間、(ウクライナの)民間地域や都市、町にミサイルを撃ち込む」ための「理由はない」と書いた。
さらに、「彼は戦争を止めたいのではなく、ただ私をあしらっているだけで、『金融』や『2次制裁』など別の方法で対処しなければならないのではないか」と「思わずにいられない」と投稿。「あまりにも多くの人が死んでいる!!!」と書き込んだ。
今日発表されたロシアの新たな停戦は、3日間と少しだけ長い。そしてまた、「人道的」な配慮だとの主張を伴っている。
またしても、ロシアには善意しかないと、アメリカに印象付けることを狙ったのか? ロシアは本当にずっと善人だと、思わせようとしたのか?
もしそうであれば、うまくはいかなかったようだ。少なくとも直ちには。ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は、ロシアの一時停戦の申し出について、「(トランプ)大統領は、殺し合いを止め、流血を止めるために、まず恒久的な停戦を望んでいることを明確にしている」と述べた。
そして、「彼は両国指導者への不満を募らせている」と付け加えた。
トランプ氏はここ数カ月、公の場での批判のほとんどを、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に向けてきた。だが、クレムリンに対して忍耐を失いつつあることがうかがえる。
トランプ政権は先月、ロシアとウクライナの双方に、30日間の包括的な無条件停戦で合意するよう働きかけた。ウクライナは同意したが、ロシアはしなかった。
ロシア当局はいま、プーチン氏の3日間の停戦提案を使って、ウクライナを悪者に仕立てようとしている。
ロシア議会下院のバチェスラフ・ヴォロディン議長は、「ゼレンスキー(大統領)が私たちの国の大統領の決定を支持し、停戦を受け入れるかは疑わしい」と、ロシア国営テレビで述べた。
新たな短い停戦が発表された直後のものとしては、心強い言葉だとはとてもいえない。
(英語記事 Rosenberg: What's Putin trying to achieve by calling a three-day ceasefire?)