2025年5月13日(火)

BBC News

2025年4月30日

ハーヴァード大学

米ハーヴァード大学は29日、反ユダヤ主義や反イスラム主義が横行しているとする内部調査報告書を公表した。アラン・ガーバー学長は、アメリカ最古の大学である同大学に関して、こうした調査結果が出たことについて謝罪した。

報告書によると、複数の学生が、疎外感を感じたり、仲間や教育者から自分のアイデンティティーを隠すよう圧力を受けたりしたことがあると証言した。

この調査結果を受け、ハーヴァード大学は、提供する学問の内容や、入学審査を見直すと約束した。ホワイトハウスはかねてから、米東部「アイヴィーリーグ」の名門大学について、キャンパス内で反ユダヤ主義を根絶できていないと非難し、入学審査などの見直しを要求している。

アメリカでは昨年、各地の大学で、パレスチナ・ガザ地区での戦争をめぐるパレスチナ支持の抗議行動が起きた。ハーヴァード大学ではその後、キャンパス内での偏見について調査するためのタスクフォースが設置された。

ガーバー学長は29日、「私たちのコミュニティーに対して当然のように設定した、高い期待に応えられなかったことをおわびする」と、報告書に添えた書簡の中で述べた。

2023年10月7日にパレスチナのイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲し、イスラエルがガザで報復攻撃を開始したことで、ハーヴァード大学のキャンパス内で「長らく高まっていた緊張」が解き放たれたのだと、学長は述べた。

「私たちのコミュニティーのメンバーは、そのアイデンティティーに基づいて標的にされ、敬遠されていると感じるに至った事案を報告した」

そして、「ハーヴァードは偏見を容認することはできないし、今後もしない」と付け加えた。

内部報告書には、入学審査の見直しなど、ハーヴァード大学が今後取るとしているいくつかの「行動と約束」が記載されている。

同大学は、志願者が「異なる視点に建設的に関わり、共感を示し、市民的な議論に参加する」能力があるかどうかに基づいて評価されることを目指すとしている。

しかし、この是正案の内容は、ホワイトハウスが求めている、8月までに「人種、肌の色、国籍などに基づく」全ての優遇措置を廃止し、「能力に基づく」方針を実施するという要求には及ばない。

ドナルド・トランプ政権は、ハーヴァード大学が要求に応じない場合、外国人学生の入学を禁止すると警告している。また、同大学に対する20億ドル(約2870億円)の連邦資金からの助成金を凍結しており、税制優遇措置も撤回すると脅している。

これに対し、大学側は21日、トランプ政権による数十億ドルの助成金凍結の停止を求め、連邦裁判所に訴訟を起こした

大学側の弁護人は、政府が大学の憲法上の権利を侵害し、連邦政府からの助成金が学内の「学問的意思決定を支配するために」利用されていると主張している。

ユダヤ系のガーバー学長は先月、学生宛ての書簡の中で、「学長を務めている間にも」個人的に「反ユダヤ主義を直接経験したことがある」と述べていた。

詳細は明かさなかったものの、「これが学生にとってどれほどダメージを与えるか」という理解につながったとしている。

(英語記事 Harvard head apologises as scathing reports on campus prejudice released

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g3w61el65o


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