
米スターバックスのブライアン・ニコル最高経営責任者(CEO)は29日、バリスタの人数を増やし、業務のオートメーション化計画を縮小すると発表した。顧客を取り戻すための戦略の一環という。ほかの飲食チェーンはコスト削減のためにテクノロジーへの依存度を高めており、その流れに逆行するかたちだ。
スターバックスは、売り上げが減少傾向にある。同社がこの日に発表した1~3月期決算では、売上高が予想を下回った。
ニコル氏は、物価上昇と消費者支出の減少に苦しむスターバックスの立て直しのため、昨年9月にCEOに就任した。
「ここ数年、我々は実際に店舗から労働力を削減していた。設備の導入が、削減された労働力を補うことを期待していた」と、ニコル氏は投資家との電話会合で述べた。
「しかし、それは正しい前提ではなかったと、我々は気がついた」
ニコル氏がCEOに就任したころに、一部の店舗で試験的にスタッフが増員された。今年に入ってから、このアプローチは約3000店舗に拡大されている。
スターバックスは当時、ドリンク作りを効率化するために、2022年に一連の技術と設備を導入した、「サイレン・クラフト・システム」を廃止すると発表した。この名称は、同社の象徴的なロゴのサイレン(セイレーン)にちなんだものだった。
ニコル氏は、より多くのスタッフの雇用はコストの増加を意味するが、「この投資によってもたらされる成長に期待している」と述べた。
店舗やメニューなども刷新
バリスタの増員に加えて、スターバックスは店舗やメニュー、同社のドレスコードの刷新も行っている。
今月には、「当社の象徴である緑色のエプロンを輝かせ、お客様に親しみを感じてもらう」ため、バリスタはダークカラーの単色のシャツを着用することになると発表した。
1月には、北米の店舗で、商品を購入しなくても施設を利用できるという規則を廃止した。
商品の購入なしにスターバックスの店舗で長居したり、トイレを利用したりすることができるという方針は、6年前に導入された。
これまでのところ、ニコル氏による企業再建努力の成果は限定的だ。
同社の最新の財務データによると、3月末までの3カ月間の世界の売上高は1%減と、5四半期連続で減少した。
最大市場であるアメリカで低迷が続く一方で、中国とカナダでは売上が増加した。
決算発表を受け、スターバックス株は29日の時間外取引で6.5%以上下落した。
(英語記事 Starbucks to hire more baristas in bid to win back customers)