2025年5月23日(金)

BBC News

2025年5月2日

イングランド・フットボール協会(FA)の旗

英イングランド・フットボール(サッカー)協会(FA)は1日、性自認が女性のトランスジェンダーの選手について、6月1日からイングランドの女子の試合でプレーできなくなると発表した。

FAは4月11日に、トランスジェンダーの女性がすべてのレベルの女子の試合でプレーし続けられるようにするため、規則を改め、男性ホルモン値に関する医療記録の提出など、厳しい資格基準を採用していた。

しかし同月16日、英最高裁が、「女性」の法的定義は生物学的性別に基づくと判示。これを受けてFAは、それまでの方針を撤廃し、女子の試合には生物学的に女性として生まれた者のみ出場できるようにするとした。

FAは、「これは複雑な問題であり、法律や科学、あるいは草の根レベルのサッカーでの方針の運用に重大な変更があった場合には、それを検討し、必要であれば変更するというのが私たちの立場だ」とした。

また、「大好きな競技を自認する性でプレーしたいと望んでいるだけの人々にとっては、困難な事態になると理解している。現役の登録済みのトランスジェンダー女性に連絡を取り、この変更について説明し、彼女たちが引き続き試合に参加し続けられる方法を説明している」とした。

FAによると、数百万人のアマチュア選手のうち、登録済みのトランスジェンダー女性は30人に満たない。

国内のプロリーグでは、トランスジェンダーの女性の登録はないという。

スコットランド・フットボール協会も1日、トランスジェンダーの女性を女子サッカーの試合で出場禁止にすると発表した。

ウェールズ・フットボール協会は、「競技機関のガイダンスを待つ」と表明。

アイルランド・フットボール協会は、「平等人権委員会の判断と暫定的なガイダンスについて検討する」とした。

BBCスポーツが関係者に取材したところ、イングランド・ウェールズ・クリケット委員会(ECB)も、トランスジェンダー女性が女子の試合に出場するのを認めない見込みだとわかった。

サッカーを諦める人も出ると

人権団体「セックス・マターズ」のディレクターであるフィオナ・マクアネナ氏は、今回のFAの決定を「遅きに失した」とし、これまでの方針は「ナンセンス」だったと述べた。

トンラスジェンダーの権利擁護団体「Football vs Transphobia」(フットボール対トランスジェンダー嫌い)のナタリー・ワシントン氏は、「この件について話をしている私の知り合いたちは、『私にとってサッカーはこれで終わり』と言っている」と説明。トランスジェンダーの女性はサッカーを諦める可能性が高いと述べた。

同氏はまた、「ほとんどの人は安全と安心の面から、男子の試合に出てプレーできるとは思っていない」とした。

FAは今回、最高裁判決を受けてトランスジェンダーに関して規則を改めた、最初の主要スポーツ統括団体となった。

陸上、自転車、水泳の各競技では以前から、トランスジェンダーの女性が女子の試合に参加することを禁止している。

「ブリティッシュ・トライアスロン」は2022年、イギリスのスポーツ団体として初めて、トランスジェンダー選手が出場できるカテゴリーを設けた。

BBCスポーツのダン・ローアン編集長は、サッカーやクリケットのような主要スポーツが今回のような禁止措置を導入したことで、他のスポーツもそれに倣うよう圧力を受けるだろうと説明。国際サッカー連盟(FIFA)や国際オリンピック委員会(IOC)などの国際組織に対しても、方針を明確にするよう求める声が高まることが考えられるとしている。

(英語記事 FA bars transgender women from women's football

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4g7j471y19o


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