2025年5月23日(金)

BBC News

2025年5月5日

政権を維持する見通しとなったアルバニージー豪首相

オーストラリアの総選挙が3日、投開票され、現地メディアによると、与党・労働党の大勝が確実になった。アンソニー・アルバニージー首相が「現職の呪い」をはねのけ、政権を維持する見通し。

開票が正式に終了するのは数日後だが、野党勢力の保守連合(自由党と国民党で構成)が全国的に大敗し、アルバニージー氏率いる中道左派政権が、選挙前に過半数だった下院の議席を大幅に伸ばすことが確実な状況となった。

公共放送ABCによると、開票率78.6%時点で、下院150議席のうち、労働党は85議席、保守連合は39議席を獲得する見込み。緑の党はまだ当選確実の候補が出ていない。その他の小政党と無所属は計10議席となっている。

今年初めの世論調査では、世界的な経済危機や政府への不満の高まりなどで、アルバニージー政権の支持率は過去最低を記録していた。その状況からの目覚ましい逆転となった。

労働党の勝利が確実になったのを受けて、アルバニージー氏は3日夜、「オーストラリア国民は今日、オーストラリアの価値観に票を投じた。それは、すべての人にとっての公平、願望、機会だ。逆境で勇気を見せる強さであり、困っている人に対するやさしさだ」と勝利演説した。

一夜明けた4日には、「オーストラリア国民は分裂ではなく結束に投票した」と、アルバニージー氏はシドニーのカフェでメディアに話した。

一方、野党連合を率いてきたピーター・ダットン自由党党首は、24年間維持してきた自らの議席を失った。同党の敗北の「全責任」は自分にあるとし、所属議員らに謝罪した。同党では新たな党首選びが始まる見込み。

5週間にわたった選挙戦では、生活費の問題、とりわけ医療や住宅の費用上昇が争点となった。あわせて、ドナルド・トランプ米大統領への対応といった外交問題も関心を集めた。

ダットン氏は、移民、公共部門の削減、中国に関する政策から、多くの有権者に「オーストラリアのトランプ」との印象をもたれた。本人はそうした対比は当てはまらないと訴えたが、支持を大きく失ったとみられる。

自由党は、シドニー、メルボルン、ブリスベン、アデレードなどの大都市圏でほぼ全敗した。

オーストラリアで政権2期目を目指す政党が全国的に勝利するのは珍しい。現職首相が総選挙で続けて勝利するのは20年以上ぶり。

前回の2022年総選挙では、有権者が二大政党を見捨てる傾向が大きな話題となったが、今回の結果は、その弱まりを示すものとなった。

自由党は選挙戦で失速

選挙前、アルバニージー政権は、世論調査で支持率が低迷し、今回の選挙では劣勢とみられていた。政権が1期で有権者に見限られる世界的な傾向「現職の呪い」の次の犠牲者になると予想された。

一方、ダットン氏は、前回選挙で過去70年で最悪の敗北を喫した自由党を、政権に復帰させる勢いだった。しかし、選挙戦では政策の急転や失態によって失速。ふたを開ければ、同党を大敗させたばかりか、自らも議席も失う結果となった。

ダットン氏は敗北を認める演説をし、「私たちはこの選挙で敵から、本当の自分たちとは違う姿に描かれた。ここから再出発する。私たちは自分たちの価値観、信念を分かっており、常にそれを貫き通す」と述べた。

選挙結果を受け、イギリスのキア・スターマー首相とアメリカのマルコ・ルビオ国務長官は、オーストラリアとの二国間関係を深めることを楽しみにしているとのコメントを出した。

(英語記事 Australia PM Albanese makes stunning comeback with landslide winAustralia's opposition left reeling after crushing election defeat

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0kx6vg1pxlo


新着記事

»もっと見る