
仏教の開祖ブッダ(仏陀)の遺骨に関連するとされる宝飾品のオークションを、競売大手サザビーズが直前に延期した。インド政府が抗議し、法的措置も辞さない構えを示していた。
「歴史的なブッダのピプラワ宝石」と名付けられた宝飾品のコレクションは、7日に香港でオークションにかけられる予定だった。マウリヤ朝アショーカ時代の紀元前240年ごろから同200年ごろのものとされる。
数百点からなり、サザビーズは2月、「史上最も驚異的な考古学的発見の一つ」だとしていた。
売却の動きが明らかになると、仏教学者や僧侶らが批判の声を上げていた。
インド政府も今月5日、サザビーズに書簡を送付。「(この遺物は)インドと世界の仏教界にとって不可侵の宗教的・文化的遺産だ。売却はインドの法律と国際法、そして国連条約にも違反する」と訴えた。
さらに、インド政府の高官級代表団が6日、サザビーズの代表らと協議した。
こうした経緯の末、サザビーズは電子メールで声明を発表。インド政府から提起された点を考慮し、「委託人の同意を得て、オークションは(中略)延期された」とした。
骨片と一緒に発見
サザビーズは、延期によって関係者らの話し合いが可能になると説明。協議に関する最新情報は「適宜」共有するとした。
今回の宝飾品売却の告知は、サザビーズによって7日までに削除された。オークションを宣伝するウェブサイトも見られなくなっている。
宝飾品は、ウィリアム・クラクストン・ペッペという名のイギリス人の不動産管理者が1898年、インド北部のブッダの生誕地とされるルンビニの南のピプラワにある仏塔を発掘していて発見した。ブッダのものとされる骨片も一緒に見つかった。
ルビー、トパーズ、サファイア、模様入りの金板など1800点近くが、レンガ造りの部屋の中に保管されていた。この遺跡は現在、ウッタルプラデシュ州にある。
(英語記事 Sotheby's halts Buddha jewels auction after India threat)