サイバー空間の権力論

2014年4月14日

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塚越健司 (つかごし・けんじ)

拓殖大学非常勤講師

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

 最後に、スマートフォンで容易に情報発信が可能になったことが、根本的に事件の増加を引き起こしてしまっている。近年、リベンジポルノと似た構造をもち、英語圏で「セクスティング(sexting)」と呼ばれる問題がある。これは、sex(性ないし性行為)とtexting(携帯電話でメッセージを送る)をかけた言葉で、携帯でポルノ画像を相手に送る行為である。主に10代の少年少女が互いのポルノ写真を送りあうことが多いが、それを一方が学校内の友達に送ってしまい、被害者が学校に出られなくなるといった事件が多発しているという(詳しくはジャーナリストの小林恭子が以下で述べている(http://www.yomiuri.co.jp/it/report/20140331-OYT8T50203.html)。

 こうした問題は、日本でもLINE等を通して生じており、実際に筆者も友人の高校教師からこの種のトラブルを聞いている。スマートフォンで簡単に実行できることや、また友人間の内輪ノリが、誰も送りたくないのにポルノを送らせてしまう、奇妙な空気を作り出してしまっている可能性が考えられる。

 いずれにせよ、リベンジポルノもセクスティングも以前から存在していたであろうが、技術の発達によって画像の拡散が世界中に及ぶようになってしまったのだ(ちなみに前回指摘したように、技術発展故の事件の増加と、そもそもこうした行為を行う人々の習慣が存在し続けていることは別の問題である。内輪ノリの中で恋人のポルノを見せ合ったり、芸能人の写真を週刊誌に売ったりといった行為は以前から存在している)。

法規制には表現の自由や
行政権の拡大に関わる問題も

 リベンジポルノ問題はアメリカでも以前から議論されている。リベンジポルノの影響で職場や氏名を変更する例もあるアメリカでは、カリフォルニア州が昨年10月、撮影時には同意であってもその後意図的に画像をアップした者には、最高で禁錮6カ月、罰金1000ドルの罰金刑といった、リベンジポルノを禁止する法が成立した。同様の法はニュージャージー州でも成立している。

 日本でも昨年夏や今年の2月に、リベンジポルノによる名誉毀損の疑いで逮捕者がすでに出ている。こうした動きの中、自民党が2月27日、リベンジポルノに関する新法制定を目指し平沢勝栄議員を委員長とした特命委員会を設置、今国会中の成立を目指すという。法案では、加害者への罰則規定やプロバイダへの当該画像の削除要求、さらに諸外国との条約を結ぶことも視野に入れている。

 こうした法整備に賛成する読者も多いだろうが、そこには表現の自由や行政権の拡大に関わる問題もあり、一定の議論を求める声もある。

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