サイバー空間の権力論

2014年4月14日

»著者プロフィール
閉じる

塚越健司 (つかごし・けんじ)

拓殖大学非常勤講師

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

 例えばデジタル時代の言論の自由を求めるアメリカのNPO団体「電子フロンティア財団」は、法制定には慎重にとの意見を述べている。日本でも近年、児童ポルノ禁止法改正に際し、児童ポルノに対する明確な定義が困難な以上、児童ポルノの所持を理由にした別件逮捕など、行政権力の肥大化や、ドラえもんのしずかちゃんの入浴シーンすらも放送禁止になるとの問題が大いに議論を呼んだ。

 リベンジポルノでも問題は同じだ。例えば政治家のスキャンダルの暴露としてポルノ写真を掲載した際に、それが公益性があっても法を理由に掲載が不可能になるかもしれない。そういった意味で、単純な法規制にはいくつもの問題が付随していることを忘れてはならない。

EUで議論 「忘れられる権利」とは?

 ではどうするべきか。まず日本の現行法上でも、わいせつ物公然陳列罪や、名誉毀損罪、ストーカー規制法や対象が18歳未満であれば児童買春・児童ポルノ禁止法等でも対処可能であることを忘れてはならない。またプロバイダに画像の削除を要請するプロバイダ責任制限法などもある。

 とはいえ、現行法では画像の削除に1週間程度かかってしまうこともある。ネットに上がった画像は半永久的に残ってしまうことも多く、また海外サイトの場合、日本の法律が適応外になってしまうのが現状だ。したがって、迅速な対応を求めるため、また海外サイトへの対応のために、新法が議論されるのだと思われる。

 では新法を制定することで、こうした問題は解決されるだろうか。世界中のポルノサイトから画像を取り除くためには、世界中の国家と条約を結ぶ必要があるが、現状では困難であろう。むしろこの種の条約はリベンジポルノに限らず今後も進められる必要がある。

 より重要な論点として、画像削除までの時間短縮である。現状においても、各プロバイダやブログ運営・SNS運営企業等の規定では大抵、公序良俗に反するもの等については、掲載者の了承を得ずに削除するとの旨が書かれている。ただし人的作業に伴う高コストが対応を困難にしているために、法による迅速な対応の徹底が求められている。筆者としては、法規制によって各企業に命令される前に、企業による自助努力によって柔軟な対応を願いたい。あるいは現行のプロバイダ責任制限法等を改正し、画像削除までの時間を短縮させれば新法をわざわざ制定する必要はない。

関連記事

新着記事

»もっと見る