2025年6月22日(日)

BBC News

2025年5月23日

ハーヴァード大学

米国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は22日、ハーヴァード大学の留学生受け入れ資格を停止すると発表した。ドナルド・トランプ政権とアメリカ最古の大学との対立がエスカレートしている。

ノーム長官は、ハーヴァード大学が「法律を順守しなかったため、(同大の)『学生・交流訪問者プログラム』(SEVP)資格」を取り消したと、ソーシャルメディアに投稿した。

また、「これを、全米の全ての大学や学術機関への警告としよう」と書いた。

ハーヴァード大学は声明で、「違法な」措置だと批判。「この大学、そしてこの国を計り知れないほど豊かにしている、140カ国以上からの留学生や学者を受け入れているハーヴァード大学の能力を維持することに、我々は全力を尽くす」とした。

また、「我々は、我々のコミュニティーのメンバーに対し、助言やサポートを提供するために迅速に取り組んでいる。この報復的措置は、ハーヴァード・コミュニティーと我が国に深刻な損害をあたえる恐れがあり、ハーヴァードの学術・研究の使命を損なうものだ」と主張した。

トランプ政権の今回の決定により、ハーヴァード大で学ぶ数千人の留学生が影響を受ける可能性がある。同大のデータによると、昨年度に入学した留学生は6700人を超え、入学者全体の約27%を占めた。

ハーヴァード大の大学院をまもなく卒業するオーストラリア人学生、サラ・デイヴィスさんは、「この件について、多くの混乱を目にしている」と、BBC番組「ニューズアワー」に語った。

「留学生の多くが卒業するわずか5日前に、この知らせが飛び込んできた。当然ながら、私たちが卒業後にアメリカにとどまって働き続けられるのかどうかについて、非常に不確実な影響をもたらすことになる」

「私たちは皆、次にすべきことについて大学側から連絡が来るかどうか、ただじっと待っているだけだ」

「反ユダヤ主義」の取り締まり

全米各地の大学で昨年、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃をめぐる抗議が広がったことを受け、トランプ政権はエリート大学などでの「反ユダヤ主義」を取り締まっている。

ホワイトハウスはハーヴァード大に対し、大学内の反ユダヤ主義に対抗するため、採用や入試、カリキュラムを変更するよう要求。従わなければ、同大の非課税資格をはく奪し、数十億ドル規模の連邦助成金を凍結すると警告している

大学側は今年初め、反ユダヤ主義に対処するために多くの手段を講じてきたとし、政府の要求は、大学の「知的条件」を規制しようとするものだと主張した。ノーム長官は4月、留学生に関して政府の徹底的な要求に応じなければ、同大の学生ビザ・プログラムへのアクセス権をはく奪すると警告した。

ノーム長官は22日の書簡で、ハーヴァード大が留学生を入学させる能力を取り戻す「機会」を得るには、政府が提示する要求リストに従わなければならないとした。

政府の要求リストには、過去5年間にハーヴァード大に在籍した非移民学生のすべての規律記録の提出も含まれる。ノーム長官は、学内での非移民学生による「違法で」「危険な」、あるいは暴力的な活動に関する電子記録、動画、音声を提出することも、ハーヴァード大に求めている。

ハーヴァード大は、この通告に72時間以内に対応するよう求められている。

トランプ政権は留学生のビザを抑制しようとしている。全米の大学に混乱が広がっており、訴訟も相次いでいる。

政治的抗議活動に参加したり、交通違反を犯したりしたことがある留学生が、ビザはく奪の対象となったケースもある。

こうした中、カリフォルニア州の連邦地方裁判所は22日、トランプ政権の政策に対する異議申し立てについて裁判所が検討する間は、政権が全米の留学生の法的地位を取り消すことを阻止する判断を下した。

(英語記事 Trump administration ends Harvard's ability to enrol international students

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cp85244r0ngo


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