
イギリスのキア・スターマー首相に関係するロンドン市内の住宅などが放火されたとされる事件で、ロシアが関与していた可能性があるとの見方が浮上している。クレムリン(ロシア大統領府)は26日、「ばかげている」と、これを否定した。
ロンドンで今月前半に起きた住宅2軒と車1台の火災をめぐっては、クレムリンの指示による攻撃だった可能性を英情報局保安部(MI5)が調査していると、イギリスのいくつかの新聞が政府関係者らの話をもとに報じた。
これを受け、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は26日、「英政府はイギリスで起きているすべての悪いことについて、ロシア(の関与)を疑う傾向がある」とコメント。「通常、そうした疑いはすべて根拠がなく、証拠による裏付けもまったくない」とした。
英首相官邸とロンドン警視庁は、ロシアの関与について捜査が進められているという報道について、今のところコメントしていない。
この事件では、ロンドン北部に住むウクライナ国籍のペトロ・ポチノク被告(34)が起訴されたと、ロンドン警視庁が21日に発表した。人命を危険にさらす目的で放火を共謀した罪に問われている。
さらに、ウクライナ生まれでルーマニア国籍のスタニスラフ・カルピウク被告(26)が同じ罪で、ウクライナ国籍のロマン・ラヴリノヴィッチ被告(21)が人命を危険にさらす目的で放火した罪で、それぞれ起訴されている。
3件の火災
今回の一連の事件では、5月8日に最初の火災が発生した。スターマー氏が首相官邸に移る前に住んでいたロンドン北部ケンティッシュ・タウンの通りで、同氏が隣人に売却した車が炎上した。
その3日後、そこから程近いイズリントンにある住宅の玄関で小さな火災が起き、消防が出動した。この住宅はスターマー氏が1990年代に住んでいたもので、その後アパートに改築された。
その翌日の12日には、自動車火災が起きた通りにあるスターマー氏の私邸で火災があり、消防と警察が出動した。
スターマー氏はこれらの事件を、「私たち全員、民主主義、そして私たちが支持する価値観に対する攻撃」だとしている。
(英語記事 Russia denies involvement in fires at homes linked to Starmer)