2025年6月19日(木)

BBC News

2025年5月27日

サルマン・ラシュディ氏は襲撃されて片目を失明するなどした

作家サルマン・ラシュディ氏が2022年に米ニューヨーク州で講演中、ナイフで襲撃された事件で、殺人未遂罪で有罪評決を受けていたハディ・マタール被告(27)にこのほど、禁錮25年が言い渡された。これについてラシュディ氏は26日、被告が最も重い刑を受けたのは「喜ばしい」とBBCに語った。

量刑の言い渡しは今月16日、米ニューヨーク州の裁判所であった。

ラシュディ氏は26日、BBCラジオ4の番組「トゥデイ」に出演。「被告が最大限の刑期を受けたことは喜ばしい。自分の行いについてよく考えるために使ってほしい」と述べた。

ラシュディ氏は、襲撃によって片目を失明した。また、肝臓を損傷し、腕の神経の損傷により手もまひした。

ラシュディ氏は昨年、「ナイフ」と題した本を出し、「自分なりの反撃」だとしていた。

同書には、マタール被告との想像上の会話も含まれている。「もし実際に彼に会い、質問したとしても、彼から多くを得ることはできないだろうと思った」と、サルマン氏はラジオ4で話した。

「彼が私に心を開くとは思えない。だから、自分の手で開いてみようと思った。実際の会話よりもうまく行くように思う」

この架空の会話は、BBCの映画制作者アラン・イェントブ氏によって昨年、ドキュメンタリー用に制作された人工知能(AI)を使ったアニメーションの中で現実のものとなった。

それを見て「非常にぎょっとした」とラシュディ氏は言い、「確かに意味があったと言わざるを得ない」と述べた。

ラシュディ氏は、24日に死去したイェントブ氏に敬意を表した。

イェントブ氏について、「ものすごく大きな」レガシーを残したとし、「彼は英メディアの最後の世代の巨人の一人であり、偉大な番組の制作者として、偉大な番組の実現者として記憶されると思う」と述べた。

二人の公私にわたる関係は、BBCのコメディーシリーズ「W1A」でイェントブ氏がラシュディ氏に腕相撲を取らせたことからもうかがえる。

「どっちが勝ったんだとみんなに聞かれる」とラシュディ氏は言った。「もちろん、まったくのでたらめだから、勝者なんていない」。

ラシュディ氏は11月、襲撃事件後初の小説となる短編集「The Eleventh Hour」を出版の予定となっている。

ラシュディ氏は、1988年に小説「悪魔の詩」を発表。イランの最高指導者だったルホラ・ホメイニ師から死刑宣告を受けるなど、長年にわたり殺害予告を受けた。2022年8月、マタール被告に首などを刺された。

1991年7月には、「悪魔の詩」を日本語に訳した筑波大学の五十嵐一助教授が、大学構内で刺殺された。15年後の2006年、未解決のまま殺人罪の公訴時効が成立した。

(英語記事 Rushdie 'pleased' with attacker's maximum sentence

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cx274qk9l12o


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