
リリー・ジャマリ北米テクノロジー記者
米テキサス州のグレッグ・アボット知事は27日、インターネットで上の未成年者の安全強化を目的とした新たな法案に署名した。この法律により、アップルやグーグルは自社のアプリストアにおいて、同州の利用者の年齢確認を義務付けられることになる。
この法律が施行されると、アメリカで2番目に人口が多いテキサス州の未成年者が、アプリをダウンロードしたり、アプリ内で支払いをしたりする際に、保護者の承認が必要となる。
この法案には、アップルとグーグルの両社が反対していた。
アップルの広報担当者は27日、「何百万もの人々に個人情報の提供を求めることなく、子どもたちの安全を守る、より良い提案があると考えている」と述べた。
一方、グーグルはBBCのコメント要請に回答していない。
テキサス州に先立ち、同じく保守的な州として知られるユタ州が、同様の法律を今年初めに導入している。
連邦レベルでは、連邦議会で「子どもオンライン安全法(KOSA)」案が提出されている。ソーシャルメディア各社に対し、未成年ユーザーへの有害な影響を防止・軽減するための設計上の措置を講じることを義務付ける内容だ。
KOSAは昨年に上院で法案が可決されたものの、その後、下院での審議が進まず廃案となった。
しかし、今月になって、超党派の議員らによって再び議会に提出された。アップルはこの法案を支持している。
連邦法が成立しない状況が続く中、各州が独自に法整備を進める動きが広がっている。
年齢確認を義務付ける法律をめぐっては、長年にわたり、アップルやグーグルといったアプリストア運営企業と、ソーシャルメディア企業との間で対立が続いている。
フェイスブックやインスタグラムを運営するメタは、ユーザーの年齢確認については、アップルやグーグルが責任を負うべきだと主張してきた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は今月初め、アボット知事に直接電話をかけ、法案の成立を阻止しようとしたという。
アップルの広報担当者は、「子どもたちのオンライン上の安全を強化するという目標は共有している」と述べた一方で、「この法律がすべての利用者のプライバシーに対して重大な脅威をもたらすことを深く懸念している」とも語った。
さらに、「この法律は、天気予報やスポーツの試合結果を提供するだけのアプリであっても、アプリをダウンロードしようとするすべてのテキサス州民に対して、詳細な個人識別情報の収集と保存をアプリマーケットに義務付けるものだ」と述べた。
アップルは2月、子どもの安全対策として一連の新たな措置を発表した。これには、新しい端末の設定時にユーザーが年齢層を選択することを義務付ける内容も含まれている。
また、13歳未満のユーザーについては、アプリストア「App Store」など、顔認証機能(Face ID)を必要とする機能を利用する際に、保護者の同意が必要となる。
今回テキサス州で成立した州法は、2026年1月1日に施行される予定だ。
テキサス州はこれまでも、法制度を通じてシリコンバレーに圧力をかけてきた。
2021年には、フェイスブックや当時ツイッターと呼ばれていたソーシャルメディア「X」が、共和党系政治家の意見を検閲していると非難されたことを受け、ソーシャルメディア企業が「政治的見解」に基づいてユーザーを排除することを禁止する法律を制定している。
(英語記事 Texas governor signs online safety law in blow to Apple and Google)