
ナイジェリア中部ニジェール州の町モクワで5月29日、大規模な洪水が発生し、地元当局は6月1日、死者数が200人を超えたと発表した。
当局などによると、現在も約500人が行方不明となっており、捜索活動が続けられている。
モクワ地方政府のムサ・キンボク副議長はBBCに対し、「生存者がいる可能性は極めて低い」として、救助活動はすでに打ち切られたと述べた。
今回の洪水は、この地域のものとしては過去60年間で最悪とされている。激しい豪雨の後、ティフィン・マザやアングワン・ハウサワといった町を襲った。
モクワ地区の首長、ムハンマドゥ・アリユ氏は、感染症の拡大を防ぐため、当局がまもなく地中に埋まった遺体の掘り起こしを開始する方針を明らかにした。
被災地の住民たちはBBCに対し、自宅や家族が濁流に流される様子を目の当たりにしたと、惨状を振り返った。
住民の一人、アダム・ユスフ氏は、妻と生まれたばかりの赤ん坊を失った。
「家族が水に流されていくのを、なすすべもなく見ていた。自分は泳げたから助かった」と、ユスフ氏はBBCに語った。
サリウ・スレイマン氏は、洪水によって家を失い、現金の一部も失ったと話した。
「少なくとも1500ドル(約21万5000円)を失った。前日に農作物を売って得た収入だった。取りに戻ろうかとも思ったが、水の勢いがあまりに強くて怖かった」と述べた。
ナイジェリア国家緊急事態管理庁(NEMA)は1日、洪水の被害を受けた住民に対する支援物資の提供を開始したと発表した。
同庁はフェイスブックへの投稿で、洪水により道路や橋も被害を受けており、地域経済や交通にも波及的な影響が出ていると述べた。
ナイジェリア赤十字社も5月30日に声明を出し、今回の洪水について「多数の死者と広範な被害をもたらした」としている。
ナイジェリアでは、4月から10月にかけての雨季に洪水が発生することは珍しくない。
2024年にも、豪雨による洪水で死者が出たほか、多くの住民が家を追われた。
また、2022年には大規模な洪水が発生し、600人以上が死亡、130万人が避難を余儀なくされた。
(英語記事 Death toll in Nigeria floods hits more than 200, officials say)