2025年6月22日(日)

BBC News

2025年6月2日

事件現場近くで警備にあたる警官たち(1日、米コロラド州ボルダー)

米コロラド州で1日に開かれた、パレスチナ・ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質を支援する集会で、「パレスチナを解放しろ」と叫ぶ人物が火炎瓶を群衆に投げつけるなどし、複数の人が負傷した。当局が発表した。

警察によると、事件は同州デンヴァーから48キロ離れたボルダーにある人気の屋外スペース「パール・ストリート・モール」で発生。52~88歳の8人が負傷した。

警察には午後1時26分ごろ、武器を持った人が人々に火を放っていると通報があったと、ボルダー警察のスティーヴン・レッドファーン本部長は記者会見で説明した。

警官らが現場に急行すると、複数の人がやけどなどの外傷を負っていたという。

連邦捜査局(FBI)デンヴァー支局のマーク・ミカレック支局長は、容疑者が「手製の火炎放射器を使い、発火装置を群衆に投げ込んだ」との目撃証言が得られていると発表。「標的を定めた暴力行為なのは明らかで、FBIはテロ行為として捜査している」、「悲しいことに、このような攻撃は全米であまりにも頻繁に起きている」と述べた。

支局長は、拘束したのは、モハメド・サブリー・ソリマン容疑者(45)だと明らかにした。

BBCが提携する米CBSは、政府当局の情報として、容疑者がエジプト国籍だと伝えた。また、複数の関係者の話として、容疑者は2022年に非移民ビザでカリフォルニア州に到着し、コロラド州コロラド・スプリングスに住んでいたと報じた。ビザは2023年2月に失効していたという。

襲撃時のものとみられる映像では、上半身裸の容疑者が集団に向かって叫んでいる。容疑者は拘束された際、火炎瓶のようなものを両手に持っていた。

警察のレッドファーン本部長は、襲撃には火炎瓶も使われたとみられるとした。

襲撃があった集会は、ガザ地区で拘束されているイスラエル人の人質との連帯を示そうと、親イスラエルの団体「Run for Their Lives」が毎週開いているもの。

ガザ関連とみられる事件は2週間で2件目

警告:以下には、つらく思うかもしれない内容が含まれます

襲撃現場とみられる映像では、周囲に煙が発生し、人々がいろんな方向に走っている。地面では芝生の一部が燃え、負傷者が倒れている。

インターネットに投稿された画像や映像では、容疑者と思われる人物が、赤い布と液体が入った瓶を持っている。容疑者が群衆に向かって声を張り上げ、近付こうとし、何人かが急いで逃げようとしているように見える。

容疑者が叫ぶと同時に、一人の女性が地面に倒れ、負傷したように見える。人々が女性を取り囲み、一人の男性が女性の体に水をかけている。

やがて警察が現場に駆けつけ、容疑者を拘束した。警察は、容疑者は負傷して病院に運ばれたと説明した。

コロラド州のフィル・ワイザー司法長官は今回の襲撃について、「標的にされたグループから判断して、ヘイトクライム(憎悪犯罪)と思われる」と述べた。

イスラエルのギデオン・サール外相は、この事件に「衝撃を受けている」とソーシャルメディ「X」に投稿。襲撃は「純粋な反ユダヤ主義で、メディアが広める血塗られた中傷によってあおられた」とした。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使も同様に、「X」への投稿で襲撃を「テロ」と呼び、「具体的な行動」が必要だと主張。「ユダヤ人に対するテロはガザの境界で終わらない。すでにアメリカの道を燃やしている」と書いた。

今回の事件は、ガザ紛争関連と思われるアメリカ国内での暴力行為としては、ここ2週間で2件目。

5月21日夜には、首都ワシントンのユダヤ博物館の前で、「パレスチナを解放しろ」を叫ぶ人物がイスラエル大使館の職員2人を射殺した。事件当時、博物館では、ユダヤ人団体が主催した人脈づくりのイベントが開かれていた。

(英語記事 Eight hurt in Colorado fire attack after suspect shouts 'free Palestine'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cje7npg8x4wo


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