2025年6月22日(日)

BBC News

2025年6月3日

中国の習近平国家主席

中国の商務省は2日、アメリカとの貿易協議で合意した「休戦」に、米政府が「重大な違反」をしていると主張し、中国として国益を守るために強力な措置を取ると表明した。アメリカのドナルド・トランプ大統領が先月末、中国を合意に違反したと非難しており、これに反論する格好となった。

同省の報道官は、両国がスイス・ジュネーヴで先月開かれた協議でまとめた合意を、米政府が「深刻に損なった」と述べた。合意では、双方が互いに関税を引き下げるとしていた。

報道官はまた、米政府の行為は、中国の習近平国家主席とアメリカのトランプ大統領が1月の電話協議で合意した点に著しく違反するものでもあるとした。

中国政府は、アメリカが半導体設計ソフトウエアの中国企業への販売を停止したことや、中国ハイテク大手の華為技術(ファーウェイ)製半導体の使用について警告を発したこと、中国人留学生のビザを取り消したことなどが、合意違反に当たるとした。

米中貿易をめぐっては、トランプ氏が先月30日、中国に対し、「私たちとの合意に完全に違反した」と批判していた。詳しい説明はしなかったが、その後にジェイミソン・グリア通商代表が、中国は合意した非関税障壁の撤廃を実行していないと述べた。

米中首脳の協議の可能性

先月のジュネーヴでの貿易協議の結果、アメリカは中国製品に対する関税を145%から30%に引き下げた。一方、中国も米製品に対する報復関税を125%から10%に下げた。

両国は貿易に関して多くの点で意見が大きく異なるため、ジュネーヴで合意に至ったのは多くのアナリストを驚かせた。

しかしその後、双方が批判の言葉を強めるなど、「休戦」のもろさが浮き彫りになっている。

そうしたなか、ホワイトハウスの高官2人が1日、トランプ氏と習氏が近く協議する可能性があると示唆した。

その1人はスコット・ベッセント財務長官で、BBCが提携する米CBSの番組で、両首脳が話し合えば貿易に関する詳細が「調整される」と述べた。時期については明言しなかった。

もう1人はケヴィン・ハセット国家経済会議委員長で、両首脳は今週話し合うことが見込まれおり、「双方とも話し合う意思を示している」と米ABCの番組で発言。「大事なのは、思い通りに事が運ばない場合に備えておかなければならないということだ」と述べた。

一方で中国側は、まず低いレベルでの合意形成を求める傾向にある。

トランプ氏は先月30日にペンシルヴェニア州ピッツバーグで開かれた集会で、鉄鋼とアルミニウムに対する関税を25%から50%に倍増すると発表。これにより、米国内で鉄鋼の製造と供給が促進され、中国への依存度が下がるとした。

(英語記事 China says US has 'severely violated' tariffs truce

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c0r1xnleq2yo


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