2025年6月19日(木)

BBC News

2025年6月4日

韓国大統領選で当選確実となった李在明氏(3日、仁川)

韓国の大統領選は3日、投開票され、最大野党「共に民主党」前代表の李在明(イ・ジェミョン)候補(61)の勝利が確実な情勢となった。複数の韓国主要メディアが報じた。

韓国の4大放送局(KBS、MBC、SBS、JTBC)は3日夜、開票率40%超の段階で、李候補の当選が確実になったと伝えた。

これよりも前に、KBS、MBC、SBSが発表していた共同出口調査の結果では、李候補の得票率は51.7%、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で雇用労働相を務めた与党「国民の力」の金文洙(キム・ムンス)候補(73)は39.3%で、李候補の勝利が予想されていた。

李氏は、中央選挙管理委員会によって当選が確定され次第、大統領に就任する。通常は大統領選後に60日間の政権移行期間があるが、今回は前大統領の罷免を受けた選挙のため例外となる。

就任式は4日、ソウルの国会内で開かれる予定。通例より簡素化されるとみられている。

当選確実が報じられると、李氏は仁川(インチョン)の自宅前で記者団の取材に応じ、「まだ開票が続いており、何を言えばいいのかわからない」と話した。

そして、「もし結果がこのような形で確定すれば、国民の偉大な判断に敬意を表したい」、「私に与えてくれた大きな責任と使命に対し、みなさんを失望させたりはしない。最善を尽くす」と述べ、頭を下げた。

李氏は新大統領として、前政権の混乱による分断が深まる国内情勢や、アメリカの関税に対する国民の不安、ドナルド・トランプ米政権との予測不可能な同盟関係などに対応することになる。

今回の選挙の有権者は約4440万人。韓国メディアによると、投票率は79.4%で、大統領選としては1997年以降で最も高かった。

韓国大統領選の投票率の過去最高は、1987年の89.2%。その後、1992年は81.9%、1997年が80.7%と下落が続いた。前回(2022年)と前々回(2017年)はともに約77%だった。

工場労働者から大統領に

李氏は、工場労働者から人権派弁護士、政治家へと転身した経歴をもち、労働者階級の象徴として支持を集めてきた。前回2022年大統領選にも立候補したが、尹前大統領に僅差で敗れた。

その尹氏が昨年12月の「非常戒厳」の宣布をきっかけに大統領を弾劾・罷免されると、李氏は大統領選への再挑戦を表明。多くの仕事があり、公正な社会からなる「真の大韓民国」をつくると訴えた。

ただ、大統領への道のりは険しいとみられていた。尹氏が非常戒厳を出した時点では、李氏は2022年大統領選で虚偽の事実を公表したとして公職選挙法違反で有罪判決を受けていた。汚職や権力乱用の疑いで捜査も進められていた。

そうした状況からの劇的な勝利となったが、これらの嫌疑が今後、大統領となる李氏に影響を及ぼす可能性もある。

李氏は選挙運動で、韓国で非常戒厳が二度と出されないようにすると明確に誓った。国民はこれを強く支持し、もう少しで軍事政権に戻ることになり得た昨年12月の出来事を改めて拒絶したとみられる。

選挙戦ではこのほか、経済対策や北朝鮮との関係などが争点となった。

今回の大統領選は、尹氏が非常戒厳を出したことで、国民の分断や抗議運動、政治的混乱などを招いたことに端を発している。

尹氏は昨年12月3日、非常戒厳を宣布。約6時間後に国会の要求に従って解除した。野党はこれを「内乱行為」に当たると非難。尹氏は同月14日、国会で弾劾訴追された

弾劾の妥当性を審理していた韓国の憲法裁判所は今年4月4日、裁判官の全員一致で妥当と判断し、尹氏を罷免する決定を言い渡した。尹氏は直ちに失職し、60日以内の大統領選実施が決まった。

(英語記事 LIVE:Opposition's Lee Jae-myung 'certain' to win South Korean election - broadcasters

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c2kq3z8ed0lo


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