
国連安全保障理事会で4日、パレスチナ・ガザ地区での「無条件かつ恒久的な」即時停戦を求める決議案の採決があり、アメリカが拒否権を行使したため否決された。
この決議案には、ガザに残る人質全員の解放と、人道支援をめぐる制限の解除も含まれる。理事国15カ国のうち14カ国が賛成した。
アメリカのドロシー・カミーユ・シア国連副大使は、決議案について、停戦に向けた「外交努力を妨げる」ものだとし、国連がイスラム組織ハマスをテロ組織に指定していないことを指摘した。ハマスはアメリカやイギリス、欧州連合(EU)などからテロ組織に指定されている。
「ハマスを非難せず、ハマスに武装解除してガザから撤退することを求めない、いかなる措置も我々は支持しない」と、シア氏は述べた。
イスラエルは5月まで11週間にわたり、ガザへの支援物資の搬入を阻止してきた。
この影響で、ガザで暮らす約210万人のパレスチナ人が、飢饉(ききん)の「重大なリスク」に見舞われていると、国連が支援する「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の最新報告書は指摘している。
ガザでは先週から、アメリカとイスラエルが支援する「ガザ人道財団(GHF)」が援助物資を配給している。GHFは、国連やほかの組織がガザで担ってきた物資供給ネットワークにとって代わることを活動目的としている。
GHFが運営する物資供給センターへのルートでは、ここ数日、民間人が銃撃され死傷する事案が相次いでいる。
決議案に賛成票を投じたイギリスのバーバラ・ウッドワード国連大使は、「ガザにおける耐え難い状況を終わらせる必要がある」とイギリスは考えており、停戦を「長期的な政治的解決を実現する最良の手段」だと捉えているとした。
そして、イスラエルは「物資をめぐる制限を今すぐに解除し、国連と人道支援団体が人命を救い、苦痛を軽減し、尊厳を維持するという任務を果たせるようにすべき」だと付け加えた。
ハマスが2023年10月7日にイスラエルに越境攻撃を行い、約1200人を殺害、251人を人質として連れ去ったことを受け、イスラエルは、ガザ地区で軍事作戦を開始した。
ガザ保健省によると、イスラエルが作戦を開始して以降、ガザで5万4000人以上が殺された。そのうち4201人は、イスラエルが3月18日に攻勢を再開して以降に死亡したという。