
ウクライナの首都キーウなどで6日にかけて、ロシアのミサイルやドローン(無人機)による大規模攻撃があり、キーウでは4人が死亡したと、市長が発表した。
ウクライナ空軍のユーリ・イフナト報道官は、ロシアはウクライナに対する夜間攻撃で、ドローン407機と巡航ミサイル38機、弾道ミサイル6機を発射したと発表した。
同軍は最大30発のミサイルとドローン200機を迎撃したと、報道官はウクライナのテレビ局に語った。
ロシアのウクライナへの攻撃としては、ドローン472機と弾道ミサイルと巡航ミサイル計7発を使用した1日の攻撃に次ぐ規模。
キーウのヴィタリ・クリチコ市長によると、この空爆で同市で4人が殺害され、20人が負傷した。死者のうち3人は救急隊員だったと、ウクライナの国家非常事態庁(DSNS)は明らかにした。
キーウ当局は6日午前の時点で、空襲警報を解除した。しかし、北東部スーミ、
東部ルハンスク、ドネツク、南部クリミアでは警報が出されたままだという。
ウクライナ北西部の街ルツクでは、ロシアのドローン15機とミサイル6発による攻撃があり、5人が負傷した。イーホリ・ポリシュチュク市長が発表した。
ウクライナは1日、ロシアとの間で続く戦争で最大規模となる長距離攻撃を実施し、ロシア国内の基地4カ所で爆撃機など計40機を攻撃した。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は同日夜、同国保安庁(SBU)がドローン117機を使った「クモの巣」作戦を実施し、「(ロシアの)戦略巡航ミサイル運搬機の34%」を攻撃したとソーシャルメディアに投稿した。
この3日後にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話協議したアメリカのドナルド・トランプ大統領は、プーチン氏がこのドローン攻撃について、「対応措置を取らなければならないと、非常に強く話した」としていた。
各地で多数負傷、救急隊員も死傷
ロシアの攻撃により、キーウをはじめ、ルツクやテルノピリでも空襲警報が出された。
テルノピの軍政責任者ヴャチェスラフ・ネホダ氏は、市内で複数の火災が起きたとAFP通信に言い、「この地域に対する空爆としては過去最大」だと述べた。
DSNSは、テルノピリで隊員5人が、ロシアの攻撃で発生した火災の消火活動中に負傷したとしている。
テルノピリ当局は、ロシアの攻撃後、空気中に有害物質が検出されたとして、住民に屋内待機を呼びかけている。
「(6日)午前8時時点で、(空気中の)特定の有害物質量が最大許容レベルに達した」と、ネホダ氏はソーシャルメディアに投稿した。
「テルノピリ市民、特に子供たちは屋内に留まるよう、専門家は呼びかけている。窓は閉めたままにしておくように」
ルツクでは複数の家屋や学校、政府施設が損傷を受け、5人が負傷したと、ポリシュチュク市長が述べた。
フメリニツキー州知事は、空爆でいくつかの車両や建物が損傷を受けたと明らかにした。
DSNSによると、ウクライナ各地への夜間攻撃で、合わせて約40人が負傷した。
キーウへの攻撃で死亡した救急隊員3人は、「攻撃を受けながらも、市民を助けようと働いていた」のだと、DSNSは説明。「ほかに隊員9人が負傷した。重傷者もいる。彼らの命を救おうと、医師たちが奮闘している」とした。
「ロシアに責任を負わせなくてはならない」
ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ロシアの本質は変わらない。またしても、(ウクライナの)各都市や普通の生活が大規模な攻撃を受けた」と、ソーシャルメディアに投稿した。
ゼレンスキー氏は、夜間にウクライナ各地に対して「ドローン400機以上と、弾道ミサイルを含むミサイルが40発以上使用されたとした。
また、これまでに3人が殺害され、49人が負傷したとした。これは、死者は4人だとするキーウ市長の発表とは異なる。
「ロシアにはこの攻撃の責任を負わせなくてはならない」とゼレンスキー氏は述べ、「我々は世界と共に、ウクライナが自衛できるよう多くの努力を払ってきた。しかし今こそ、アメリカや欧州、そして世界中がロシアに圧力をかけて、この戦争を共に止める時だ」と付け加えた。
さらに、「もし誰かが圧力をかけずに、この戦争が命を奪う時間を引き延ばすなら、それは共謀で、責任を問われることだ。我々は断固とした行動をとらなければならない」とした。
ロシア、ウクライナのドローンとミサイルを迎撃と
こうした中、ロシア国防省は6日にかけて、同国の防空システムがウクライナのドローン174機を撃墜したと発表した。
同省によると、ウクライナは5日午後8時ごろから、ロシアの一部地域と、ロシア占領下のウクライナ南部クリミアに対して多数の攻撃を仕掛けたという。
6日朝には、ウクライナの対艦ミサイル「ネプチューン」3発を黒海上空で迎撃したとも発表した。
(英語記事 Russian strikes on Ukraine kill four in Kyiv, mayor says)