2025年6月22日(日)

BBC News

2025年6月7日

米政府を訴えた「プラウド・ボーイズ」の5人は、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃に関わった罪で有罪となった

2021年1月6日の米議会襲撃に関わり有罪判決を受けた極右団体プラウド・ボーイズのリーダー5人が6日、起訴中に権利を侵害されたとして、アメリカ政府を相手取り1億ドル(約145億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。

5人は、2020年大統領選挙で敗れたドナルド・トランプ氏の敗北を覆すため、暴動を計画し、参加した罪で有罪判決を受けた。トランプ大統領は今年初め、5人の刑期を恩赦または減刑した。

プラウド・ボーイズの5人はフロリダ州で6日に提起したこの訴訟で、自分たちを起訴した連邦捜査局(FBI)捜査官や検察官たちが、個人的偏見に基づいて行動したと主張している。

5人は、トランプ大統領の「政治的同志を処罰し抑圧する」ことを目的に、自分たちの憲法上の権利が踏みにじられたと主張している。

この訴訟は、ヘンリー・「エンリケ」・タリオ、イーサン・ノルディアン、ジョゼフ・ビッグス、ザカリー・レール、ドミニク・ペッツォラの各氏が起こした。

タリオ氏は、2021年の議会襲撃を計画した罪で有罪判決を受け、5人の中で最長の禁錮22年の判決を受けた。議会襲撃は、ジョー・バイデン前大統領の当選を連邦議員らが承認する最中に起きた。

タリオ氏は、政府転覆を計画したとして扇動的陰謀の罪をはじめ、複数の罪で有罪判決を受けた。 扇動的陰謀罪が実際に適用されるのは異例だった。

他の4人も同様の罪で起訴され、実刑判決を受けた。

トランプ大統領は今年1月の就任当日、議事堂襲撃に関与した約1500人に恩赦を出した。5人もその対象に含まれていた。

トランプ大統領は恩赦に署名した際、議会襲撃で有罪になった人々が「破滅させられた」として、「(前政権が)この人たちにしたことは、とんでもないことだ。この国の歴史で、こんなことはめったになかった」と述べていた。

プラウド・ボーイズのリーダー5人は今回の損害賠償請求の訴えで、自分たちが「法制度の甚だしく組織的な乱用」の対象になったと主張している。また、検察官が「証拠の改竄(かいざん)」や「証人威迫」に関与したと非難している。

さらに、自分たちの起訴は「腐敗しており、政治的動機によるもの」だったと主張している。

訴えは、トランプ政権下でパム・ボンディ長官が率いる司法省に対して起こされた。BBCは司法省にコメントを求めている。

同省が1月に発表した数字によると、議事堂襲撃事件に関連した罪で約1583人が起訴された。600人以上が暴行や法執行妨害などの罪で起訴され、そのうち約175人は、殺傷力のある、あるいは危険な武器の使用や、警官に重傷を負わせた罪で起訴された。

議事堂警察の警官らは、金属警棒、木の板、旗竿、消火器、催涙スプレーなどの武器で暴徒に攻撃された。

多くの議員が暴動を非難したが、トランプ大統領はこれを「愛の日」と呼んだ。

民主党議員たちは、この事件での恩赦は歴史を書き換えようとする試みだと批判。 暴動中に避難を余儀なくされた一人のナンシー・ペロシ元下院議長(民主党)は、一連の恩赦は「この国の司法制度に対する言語道断の侮辱だ」と非難している。

(英語記事 Proud Boys sue US government for $100m over Jan 6 prosecutions

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvg7jm66g2jo


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