ロシアの攻撃を受けた集合住宅（7日、ウクライナ北東部ハルキウ）
イアン・ケイシー（ロンドン）、ポール・アダムズ（キーウ）、ヤロスラヴ・ルキウ（ロンドン）
ロシアは6日夜から7日朝にかけて、ウクライナ第二の都市のハルキウを攻撃した。イーホリ・テレホフ市長によると、少なくとも3人が殺害され、17人が負傷した。ロシアは前夜にも首都キーウなど複数の都市を攻撃。ウクライナ当局によると、6日朝にかけては少なくとも6人が殺害され、80人が負傷した。
北東部ハルキウのテレホフ市長によると、ロシアは7日朝にかけてドローン48機とミサイル2発、滑空爆弾2発を使って攻撃。市内では高層の集合住宅3棟が破壊されたという。ハルキウへの攻撃としては、過去最大規模だという。集合住宅の高層階から火の手が上がる様子が、撮影されている。
ロシアは6日の時点で、一連の大規模攻撃は「キエフ政権によるテロ行為」への報復で、軍事施設を標的にしたと述べていた（「キエフ」はウクライナの首都のロシア語発音）。
これに先立ちウクライナは1日に、ドローン117機をひそかにロシア国内に運び入れ、ロシア軍の基地4カ所で長距離爆撃機など数十機を攻撃したと発表していた。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は4日、ドナルド・トランプ米大統領との電話会談で、ロシアに対するウクライナの最近の攻撃に対応すると予告していた。
クレムリン（ロシア大統領府）のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウクライナでの戦争はロシアにとって「存亡に関わる問題」で、「我が国の国益の問題で、安全保障の問題だ」と主張していた。
前夜はキーウなど攻撃
ロシア軍は5日夜から6日朝にかけては、キーウ、北部チェルニヒウ、北西部のルツクとテルノピリを「大量」のミサイルとドローン（無人機）で攻撃した。ウクライナの国家緊急事態サービス（DSNS）によると、この攻撃では巡航ミサイルとローン数百機の攻撃で、6人が死亡、80人が負傷した。
ロシア国防省は、5日夜に「陸海空を拠点とする高精度で長距離の兵器、および攻撃ドローンで大規模な攻撃を実施」したと発表。さらに6日には、 キーウなど各地の攻撃に加え、ロシアの一部と占領下のクリミア半島上空でウクライナの無人機174機を撃墜したとも発表した。黒海上空では対艦巡航ミサイル「ネプチューン」を迎撃したとしている。
ウクライナのDSNSは、キーウで死亡した3人は全員同局の職員だったと発表した。 ルツクでは2人が死亡し、もう1人の遺体は6日遅くにチェルニヒウの残骸から引き出されたという。
ウクライナ当局によると、5日から6日にかけてのロシアの空襲には、ウクライナが1日に標的としたのと同じ種類の巡航ミサイル38発が含まれていた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日、ロシアが攻撃にドローン400機以上を使ったと述べ、「ロシアにはこの攻撃の責任を負わせなくてはならない」、「我々は世界と共に、ウクライナが自衛できるよう多くの努力を払ってきた。しかし今こそ、アメリカや欧州、そして世界中がロシアに圧力をかけて、この戦争を共に止める時だ」と付け加えた。
さらに、「もし誰かが圧力をかけずに、この戦争が命を奪う時間を引き延ばすなら、それは共謀で、責任を問われることだ。我々は断固とした行動をとらなければならない」とした。ドナルド・トランプ米大統領がロシアに圧力をかけることに消極的に見えることにも暗に言及したものと思われる。
ドローンの羽音に爆音と光
6日朝にかけてキーウが受けた攻撃では、集合住宅が破壊されたほか、砲撃で線路が損傷したため市内の地下鉄システムが混乱し、空襲警報が発令された。
首都の民間人数万人が、地下シェルターで落ち着かない数時間を過ごした。
郊外の防空システムが多数のドローンを撃墜しようとする中、長時間にわたる機関銃掃射の音が街の中心部でも聞こえた。
頭上ではドローンの独特の羽音も、しばしば聞こえた。 明るい閃光（せんこう）が時々近くの建物に反射し、5秒から10秒後に雷のような爆発音が続いた。
西部テルノピリではヴャチェスラフ・ネホダ州知事が、6日の空爆は「これまででこの地域で最大規模の空爆」で、5人が負傷し、住宅や学校に被害が出たと述べた。
他方、ロシア政府は、5月31日にロシア西部のブリャンスク州とクルスク州の鉄道で発生した3件の爆弾攻撃について、ウクライナによるものだと非難した。この鉄道攻撃では7人が死亡、100人以上が負傷している。ウクライナは鉄道攻撃についてはコメントしていない。
（英語記事 'Massive' Russian strike days after air base attacks / Biggest drone strike hits Ukraine's second city）
