
ウクライナの首都キーウで10日未明にかけ、ロシアによるドローン(無人機)攻撃があった。南部オデーサ州でも、主要港湾都市オデーサ市内の病院がドローン攻撃の標的となり、2人が死亡した。その他の地域でも攻撃があった。当局が明らかにした。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアが9日夜からのウクライナ各地に対する攻撃で、ドローン315機を発射したとした。
キーウのヴィタリー・クリチコ市長は、日付が10日に変わった数時間後にロシアによる「大規模な」ドローン攻撃があり、市内4地区で救急隊が出動したと、メッセージアプリ「テレグラム」で発表した。
クリチコ市長はまた、「避難施設にとどまって! 首都への大規模攻撃が続いている」と呼びかけた。
キーウの軍事行政トップのティムール・トカチェンコ氏は、さまざまな地区への攻撃が「同時に」あったとテレグラムで説明。「撃墜した標的」の破片が落下し、市内の住宅や倉庫で火災が発生したと付け加えた。
一方、南部オデーサ州のオレフ・キペル知事は、オデーサ市内の病院と住宅がドローン攻撃の標的にされたとテレグラムで発表。男性(59)が殺害され、4人がけがを負ったとした。
当局はその後、オデーサ市での死者は2人になったと発表。ゼレンスキー氏も、同市の負傷者は13人に上ったとした。
知事によると、攻撃された病院の医療ステーションと産科病棟にいた患者や職員は避難して無事だった。救急車が何台か破損したという。
攻撃が続いていた10日未明、東部のドネツク、ルハンスク、ハルキウの各州など、ウクライナの広い範囲に空襲警報が発令された。
ゼレンスキー氏によると、ドニプロ州とチェルニヒウ州も攻撃目標となった。また、この夜の攻撃で発射されたミサイル7発のうち2発は「北朝鮮製の弾道弾」だったという。
一方、ウクライナも同夜、ロシアに対してドローン攻撃を実施。いくつかの空港が一時閉鎖された。
ロシアの報復
ロシアは9日にも、ウクライナに対して大規模なドローン攻撃を実施していた。ロシア政府はこの攻撃について、今月1日のウクライナによるロシア国内への攻撃に対する報復だとしている。ウクライナは、「クモの巣」作戦と呼ぶこの攻撃で、多数のロシア爆撃機を標的にした。
「クモの巣」作戦の実施後にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と電話で話したアメリカのドナルド・トランプ大統領によると、プーチン氏はこの攻撃に「非常に強く」対応すると宣言していたという。
こうしたなか、ウクライナとロシアは9日、捕虜交換を開始した。病人や重傷者、25歳未満の人々と、兵士1万2000人の遺体が戻される予定となっている。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この交換が「複数の段階」で実施されると説明。「多くの詳細が難しい」、「複雑な」プロセスだとした。
(英語記事 Russian strikes in Ukraine hit Kyiv and kill two in Odesa)