2025年6月22日(日)

BBC News

2025年6月10日

英労働党政権は、年金生活者の冬季暖房費補助を再開すると決めた。昨年7月の政権交代直後にレイチェル・リーヴス財務相が、財政健全化のため廃止を発表したことから、多くの国民が反発していた。今年5月の地方選や下院補欠選挙で野党「リフォームUK」に議席を奪われるなど、労働党の支持が低下する中での方針転換となった。

英政府は9日、暖房費補助の対象拡大を発表。それによると、年金受給者の4分の3以上が今年は冬季暖房費の支給を受けることになる。イングランドとウェールズの年収3万5000ポンド(約685万円)以下の年金受給者900万人が対象となる。

冬場の一番寒い時期に暖房費補助として最大300ポンド(約5万9000円)を支給するこの仕組みは、昨年は、60歳以上の低所得者に対する公的扶助制度「年金クレジット」の受給者にしか適用されなかった。

労働党政権のこの政策が、地方選や下院補選など相次ぐ選挙で労働党が不調な原因だとされている。

リーヴス財務相は、自分たちが政権を引き継いだ時は、長年の保守党政権によって年間220億ポンド(約4兆3000億円)もの財源不足が「ブラックホール」のように開いていることに気づいたため、財政再建の緊急措置が必要だったのだと説明。「私たちが行った改革と経済にもたらした安定のおかげで、補助額を増せるようになった」として、政府は「国民の懸念に耳を傾けた」のだと述べた。

また、予算総額12億5000万ポンドの財源をどう確保するかは、秋季予算案で詳細を示す方針だとした。その上で財務相は、借金を厳しく律していく政府の方針は変わらないと強調した。

政府は、イギリス経済が回復しているため、燃料費手当の対象を拡大する余地が生まれていると説明。「恒久的な追加の借金にはつながらない」としている。

他方、最大野党・保守党のケミ・ベイドノック党首は、これは労働党にとって「屈辱的なUターン」だと批判した。

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c74neny9wgeo


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