
ウクライナとロシアは16日、トルコで先週開かれた両国の直接和平協議での合意に基づく、兵士の遺体返還を終了した。ウクライナ側は、遺体がウクライナ兵のものかどうか確認を進めている。
直接和平協議では、双方はそれぞれ6000人の遺体の返還と、病気や重傷、25歳未満の捕虜の交換で合意した。
ウクライナ政府によると、16日には兵士1245人の遺体がロシアから返還された。今回の合意でウクライナが引き取った遺体はあわせて6057人に上る。ウクライナは現在、すべての遺体がウクライナ兵のものかどうか確認中だとしている。
一方でロシアは、計6060人の遺体をウクライナに引き渡したと主張。ウクライナからは、計78人の遺体が返還されたとした。
ウクライナのイホル・クリメンコ内相は、ロシアが「意図的に身元確認プロセスを複雑にしている」と非難した。「遺体はひどく切断された状態で返還された。(同じ人の)遺体の複数の部位が異なる袋に入っている」。
直近の遺体の引き渡しは、16日に非公開の場所で行われた。白い袋に入った遺体は、冷蔵トラックで運び込まれた。
赤十字社の職員が、引き渡しを監視した。
遺体返還について調整するウクライナ政府機関は声明で、「さらに1245人の遺体がウクライナに返還された」と発表した。
同機関によると、身元確認プロセスと「必要なすべての検査」を、ウクライナの法執行当局の専門家が行う。
こうした中、ロシア国防省は声明で、ウクライナ兵1248人の遺体をウクライナに引き渡したと主張した。
ウクライナとロシアが発表した人数が一致しないことについて、ウクライナのクリメンコ内相は、以前の返還時にウクライナが「引き取ったウクライナ兵の遺体の中に、ロシア兵の遺体がまざっていた」と指摘した。
ロシア国防省は声明で、16日にロシア兵51人の遺体を引き取ったと発表。これまでに返還された遺体は計78人だとした。
同省は、さらに2239人のウクライナ兵の遺体を返還する用意があるとも付け加えた。
ロシアは近ごろ、掌握する地域を拡大しており、戦死した自国の兵士の多くを収容できているとみられる。そのため、双方が引き渡した遺体の数に差が生じている可能性がある。
両国間の信頼は著しく低下している。それは、死者をめぐっても同じだ。
赤十字社は、双方から引き渡された遺体の数を明らかにしていない。
「詳細を確認し、直接協議し、(引き渡しを)いつどこで行うのかを決定し、どの遺体を(返還)プロセスの対象とするかを決定するのは、両国次第だ」と、赤十字国際委員会(ICRC)のパット・グリフィス報道官はBBCに語った。
(英語記事 Russia and Ukraine fulfil deal to repatriate dead soldiers)