2025年7月16日(水)

BBC News

2025年6月18日

主要7カ国首脳会議(G7サミット)の写真撮影に臨んだドナルド・トランプ米大統領(16日、カナダ・カナナスキス)

アメリカのドナルド・トランプ大統領は17日、イスラエルとイランの軍事衝突が続く中、「我慢の限界に近付いている」として、イランに無条件で降伏するよう求めた。さらに、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の居場所を「正確に把握している」としつつ、「今のところは」殺害するつもりはないとした。

イスラエルとイランの攻撃の応酬は、5日目の17日も収束せず、イランの首都テヘランや中部イスファハンで複数の爆発が報告された。双方の攻撃は18日にかけて続いた。

トランプ氏は、中東情勢に対応するためだとして、カナダでの主要7カ国首脳会議(G7サミット)を予定より1日早く切り上げた後、自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」にイランについて連投。

「我々は今、イラン上空を完全にコントロールしている」

「イランは優れた空域監視装置やそのほかの防衛設備を数多く保有している。しかし、アメリカが考え、製造した『もの』にはおよばない。古き良きアメリカに勝るものはいない」などとした。

アメリカは長年、イスラエルに軍事援助や兵器を提供してきた。ただ、13日にイランとの軍事衝突が始まって以来、アメリカは公式には、イスラエルによるイラン攻撃に関与していないとの立場を貫いている。

トランプ氏はさらに、「我々は(イランの)いわゆる『最高指導者』がどこに隠れているのか、正確に把握している」と投稿。

「彼(最高指導者)を狙うのは簡単だが、少なくとも今のところは、彼を排除(殺害)するつもりはない」とした。

しかし、「民間人や米兵にミサイルが撃ち込まれることを我々は望んでいない。我々の我慢は限界に近付いている」とも書いた。

そして、それに続く第3弾の投稿で、イランに「無条件降伏」を要求した。

一方、イラン最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師は18日、イランは「シオニストには決して譲歩しない」などとソーシャルメディアに連投した。

ハメネイ師は、「我々はシオニストに一切容赦しない」と表明。別の投稿では、「戦いが始まる」とも書いた。

イスラエルと共にイラン攻撃、トランプ氏が検討か

トランプ氏をめぐっては、イスラエルと共に、イランの核施設を攻撃することを検討していると報じられた。

BBCがアメリカで提携するCBSは、情報筋の話として、中部フォルドゥにある施設を含むイランの核関連施設を、イスラエルに加わって攻撃することを、トランプ氏が検討していると伝えた。

この情報筋によると、この案は、17日午後に開催されたホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)で議論される予定だった。ただ、トランプ氏の側近らの間で完全な同意が得られていないという。

こうした中、米軍の戦闘機が英イングランド東部の基地を離陸した。

複数の画像には、レイクンヒース空軍基地を離陸する複数のF-35戦闘機が写っている。空中給油機1機も一緒だった。

攻撃の応酬、6日目に突入

イスラエルでは17日夜、複数の地域で空襲警報のサイレンが鳴り響いた。イスラエル国防軍(IDF)は、イランが発射したミサイルを迎撃しているとし、住民に避難を呼びかけた。

一方でイランでは、複数の爆発が報告された。

イラン中部イスファハンの住民が複数の爆発を聞いたと、BBCペルシャ語のゴンチェ・ハビビアザド記者は報告した。

イランの準国営メヘル通信も、イスファハンの東部と北部で爆発音がし、イランの防空システムが作動したと伝えた。

テヘランでも大きな爆発音が聞こえたと、AFP通信は報じた。イラン国営IRNA通信は、「断続的で激しい」爆発が起きていると伝えた。

イラン・メディアがイスラエルの住民に向けて投稿した動画の中で、イラン軍のアブドルラヒム・ムサビ参謀総長は、「特に(イスラエルの)テルアヴィヴとハイファでは、命を守るためにできるだけ早く避難する必要がある」と述べた。

また、「これまでに行われた作戦は、抑止のための警告だった」とし、イランによる「懲罰的な作戦」が「間もなく実行される」と述べた。

双方の攻撃は18日に入っても続いた。

IDFはイランから発射されたミサイルを特定したと、ソーシャルメディアに投稿。イスラエルの防空システムがこうした脅威を阻止するために対応しているとした。

この1時間ほど前には、イラン革命防衛隊(IRGC)が、首都テヘラン上空でイランの防衛システムが作動中だと発表した。

避難指示が一時解除も、再び応酬

IDFはその後、イランのミサイル攻撃が収まったとみられるとして、イスラエル市民に防空壕を離れても問題ないと伝えた。

しかし、それから間もなく、イランから新たなミサイルが発射されたとして、再び避難するよう指示した。

イラン国営IRNA通信は、情報筋の話として、イランから発射されたミサイルには「ヘイバル・シェカン」(別名キャッスル・バスター)ミサイルが含まれていたと伝えた。

IDFは、テヘラン第18地区の住民に対し、今後数時間以内に同地区にあるイランの軍事インフラを攻撃すると、ソーシャルメディアで警告。

「市民の皆さん、安全と健康のため、直ちに避難するように」、「この地域にとどまれば、自分の命を危険にさらすことになる」とした。

ロイター通信によると、テヘランと、テヘランのすぐ西に位置するカラジで爆発が聞こえたと、イラン・メディアが報じた。

IDFも、テヘランに一連の空爆を行っていると発表した。

イスラエル国内では、IDFが、東の方角から飛来したドローン(無人機)2機を「迎撃」。イスラエルの死海沿岸地域で空襲警報のサイレンが鳴った。

イラン・メディアは、IRGCがイスラエル・テルアヴィヴ周辺の住民に避難を命じたと伝えた。

「極超音速ミサイル」でイスラエルを攻撃

IRGCは18日、イスラエルに対する夜間攻撃で極超音速ミサイル「ファタハ1」を使用したと発表した。

イランは、2024年10月1日にイスラエルを攻撃した際にも、数十発の「ファタハ1」を発射しているが、13日から続くこの軍事衝突で同ミサイルを使用したのは初めてとみられる。

2023年に初めて公開された「ファタハ」ミサイルは、最高指導者ハメネイ師が命名した。

イランのプレスTVは、「IRGCは今回の作戦の最新段階を『転換点』とし、ファタハミサイルの第1世代の配備が、イスラエルの『根拠のない』ミサイル防衛システムの『終わりの始まり』を意味するものだとしている」と報じた。

(英語記事 Trump demands Iran's 'unconditional surrender' but says supreme leader is safe 'for now'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/czxw69ewyk4o


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