2025年7月16日(水)

BBC News

2025年6月19日

ドナルド・トランプ米大統領(18日、大統領執務室)

イスラエルとイランの軍事衝突は7日目の19日にかけても続き、イスラエルがイランの首都にある20カ所以上の軍事目標を攻撃するなどした。こうした中、アメリカのトランプ大統領が米軍によるイラン攻撃計画を承認したと、米メディアが18日に報じた。

BBCがアメリカで提携するCBSによると、トランプ氏は17日夜に、米軍によるイランへの攻撃計画を承認した。ただ、最終決定については保留しているという。

この日は、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)が開かれていた。

トランプ氏はイランが核開発計画を放棄することに同意した場合に備えて、攻撃を保留していると、情報筋はCBSに語った。

この情報は、米ウォールストリート・ジャーナルが最初に報じた。

トランプ氏は18日、イラン攻撃にアメリカが関与する可能性はあるのか問われた際、「(攻撃)するかもしれないし、しないかもしれない」と述べた。

CBSは先に、情報筋の話として、イラン中部フォルドにある地下ウラン濃縮施設を含むイランの核関連施設を、アメリカがイスラエルに加わって攻撃することを、トランプ氏が検討していると伝えていた。

アメリカは現時点で、地中海の島国キプロスや、インド洋のチャゴス諸島のディエゴ・ガルシア島にある英軍基地に関して、イラン攻撃での使用要請はしていないと、ジョナサン・ビールBBC防衛担当編集委員は報告している。

米介入は「回復不能な損害生む」とイラン最高指導者

イラン最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師は18日、「アメリカの軍事介入はいかなる形であっても、間違いなく、回復不能な損害をもたらすだろう」との声明を出した。

トランプ氏は17日、ハメネイ師の居場所を「正確に把握している」としつつ、「今のところは」殺害するつもりはないと、ソーシャルメディアに投稿していた。

また18日には、イランの交渉担当者がアメリカ側と協議するためホワイトハウスを訪問したがっているとも主張した。

これに対し、イランの国連代表部は18日、「ホワイトハウスの門前でひれ伏そうとするイラン当局者は1人もいない」と、ソーシャルメディアに投稿した。

「(トランプ氏の)うそよりも卑劣なのは、イランの最高指導者を『排除する』などという(トランプ氏の)臆病な脅迫だ」

さらに、イランは交渉を「強いられて」はいないとし、いかなる脅威にも反撃の脅威で応じ、いかなる行動にも報復措置で応じると投稿した。

トランプ氏、イランは交渉の席に着いていたと

トランプ氏は18日、イランは核開発計画をめぐるアメリカとの交渉で、もっと努力すべきだったと述べた。

「イランは合意すべきだった」、「しかし結局、イランはそうしなかった」と、トランプ氏は述べた。

トランプ氏は先にホワイトハウスで記者団の取材に応じた際にも、「なぜ(イランは)私と交渉しなかったのだろうか。このような死や破壊を招く前に。なぜ(イランは)交渉しなかったんだ」とも述べた。

イランは、13日にイスラエルが攻撃を開始する前、核開発計画をめぐる交渉の席に着いていたとみられる。イランとアメリカのさらなる交渉は、15日に予定されていた。

イランはイスラエルが攻撃を開始すると、交渉から撤退。攻撃が続く限り交渉の再開はないとしている。

イスラエル、24時間で3度の攻撃

イスラエル国防軍(IDF)は、イランに対し、過去24時間で3度の攻撃を仕掛けたと発表した。

攻撃の第1波は夜間に実施され、イスラエルの戦闘機が「テヘランの約40の標的」を攻撃した。これらの標的には、「遠心分離機の製造施設」が含まれるという。

18日午後に開始された第2波では、テヘランの軍事目標など20カ所を攻撃したという。

第3波はイラン西部を標的としているという。

「戦闘機は、以前攻撃を受けた施設に再びアクセスし、弾薬を撤去しようとする工作員を標的にしている」と、IDFは説明した。

一方でイランも、イスラエルへの攻撃を続けている。

19日早朝にはイスラエル側で、空襲警報のサイレンが鳴った。

イスラエルは、イランから発射されたミサイルやドローン(無人機)を迎撃しているとしている。

「イスラエル北部の複数地域で、敵対的な航空機の侵入が確認されたため、警報が作動した」と、イスラエル空軍は説明した。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、イスラエルとイランの戦闘が激化し続ければ、「重大な結果」を招くおそれがあると警告する声明を出した。

「私は中東で続いている、イスラエルとイランの軍事的激化を深く懸念している」

グテーレス氏は即時停戦を改めて呼びかけるとともに、さらなる「軍事介入は、当事者だけでなく(中東)地域全体および国際平和と安全保障全体に重大な結果をおよぼすおそれがある」と付け加えた。

そして、中東地域における安全保障の問題の解決には、外交が最良の手段だとして、国連憲章と国際法を「全面的に順守」するよう国連加盟国に求めた。

(英語記事 Iran and Israel launch more attacks as Trump weighs US involvement

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c1dn50l3767o


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