
アメリカのドナルド・トランプ大統領は19日、イスラエルとイランの紛争にアメリカが直接関与するか、今後2週間以内に決める考えを示した。ホワイトハウスが発表した。
ホワイトハウスのキャロライン・レヴィット報道官は記者会見で、トランプ氏のメッセージを直接伝えるとして、「近い将来、イランとの交渉が行われる可能性も、行われない可能性も相当あるとの事実に基づき、私(トランプ氏)は今後2週間以内に踏み込むかどうか決断する」と述べた。
この24時間前には、トランプ氏は今回の紛争に加わるか決めていないと述べていた。
レヴィット報道官は記者から、アメリカの参戦を懸念する「一般的なトランプ支持者」にどんなメッセージを発しているのかと問われると、「トランプ大統領を信頼せよ」だと答えた。
そして、トランプ氏の「最優先事項」は、イランの核兵器製造を成功させないことだと付け加えた。
イラン当局者がホワイトハウスに来る可能性や、トランプ氏が議会にアメリカの関与の承認を求める可能性について質問されると、レヴィット氏は「仮定の話」はできないとした。
戦略的あいまいさを維持
トランプ政権はこれまでのところ、「戦略的あいまいさ」を保とうとしている。トランプ氏は18日には、「やるかもしれないし、やらないかもしれない」と述べていた。
同政権はイランについて、核兵器製造に「かつてないほど近づいている」との見方を維持している。
タルシ・ギャバード国家情報長官など米情報機関からは、イランは核兵器製造を計画していないとの見方が示されているが、トランプ氏はそれらを受け入れていない。
BBCが提携する米CBSは18日、トランプ氏がアメリカのイラン攻撃計画を承認したが、実施の最終決定はしていないと報じた。
情報機関関係者の1人は、トランプ氏が攻撃を控えているのは、イランが核開発計画の放棄に合意する可能性を考慮しているからだとみている。
トランプ氏は、イランのフォルドにあり、ウラン濃縮などを行っている核関連施設への攻撃を検討していると報じられている。山岳部の地下にあるこの施設を破壊できる大型爆弾は、アメリカしか持っていないとみられている。
イランはフォルドの施設について、民間目的にしか利用していないとしている。
欧州外相らとイラン外相が会談へ
紛争が続く中、外交努力も続いている。ヨーロッパの外相らは20日、スイスでイラン外相との会談を予定している。
アメリカの交渉団とイランとのやりとりも続いていると、ホワイトハウスのレヴィット報道官は述べた。
ロイター通信は、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ大統領特使(中東担当)とイランのアッバス・アラグチ外相が、今回の紛争が始まってから数回電話で話しており、外交による終結を探っていると報じた。
こうしたなか、イランのサイード・ハティブザデ外務次官はBBCのインタビューに応じ、外交を「第一の選択肢」として望んでいるが、砲撃が続く間は「いかなる交渉も始められない」と主張。
アメリカが関与すれば「地域全体にとっての地獄」となるとし、紛争が「泥沼」化するとした。そして、侵略が続き、「野蛮な残虐行為」の終結が遅れるだろうと述べた。
外務次官はまた、今回の紛争は「アメリカの戦争ではない」とし、もしトランプ氏が参戦を決めれば、「関係のない戦争に参加した大統領」として記憶されるだろうと話した。
攻撃の応酬
イスラエルでは19日朝、南部の病院がイランのミサイル攻撃を受けた。
イラン国営メディアは、この攻撃は病院ではなく、隣接する軍事施設を狙ったものだったと伝えた。
イスラエル保健省は、この攻撃で71人が負傷したと発表した。
イスラエルは、今回の紛争が始まって以降、少なくとも24人が同国で殺害されたと発表した。
一方、イラン国営メディアは15日、同日までに国内で224人が殺されたと報じた。それ以降、新たな情報は出ていない。
米首都ワシントンに拠点を置き、長年イランの動向を追っている「人権活動家通信(HRANA)」は、13日以降にイラン国内で639人が死亡したと発表した。
イスラエル軍は19日も、イランの核関連施設への攻撃を継続。夜間の空爆で「稼働停止中」のアラク重水炉を攻撃したほか、ナタンズのウラン濃縮施設も再び攻撃したと発表した。
(英語記事 Trump to decide on US action in Israel-Iran conflict within two weeks)