イランとイスラエルの軍事対立は1週間にわたって続いており、激しさを増している。
こうした中、イランのサイード・ハティブザデ副外相が、BBCのリーズ・ドゥーセット国際担当主任編集委員のインタビューに応じた。
中東情勢をめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領が米軍によるイランへの攻撃計画を承認したと報じられている。ただ、最終決定については保留しているとされる。
ハティブザデ副外相は、この軍事対立は「アメリカの戦争ではない」と述べた。
さらに、アメリカが介入すれば地域全体が地獄のような状況に陥るだろうと指摘。紛争は「泥沼化」し、侵略行為は続き、「残忍で残虐な行為」の終結を遅らせることになるとした。
また、トランプ氏は「自分とは無関係な戦争に介入した大統領」として永遠に記憶されるだろうとも述べた。
外交による解決については、「当然、外交が最初の選択肢」だとしつつ、爆撃が続く限り「いかなる交渉も開始できない」とした。
イランによるイスラエル攻撃については、「国連憲章第51条に基づく自衛権の行使」だと繰り返した。イスラエルがイランの核施設を攻撃し、イランの複数の軍高官や核科学者を殺害するなど、事態が激化した13日の時点では、「我々は外交の真っただ中だった」と主張した。
そして、この紛争は「いわれのない」「不必要な」ものだと続けた。
イランと核開発をめぐる交渉を進めていたトランプ氏は、「イランが合意していれば、紛争は回避できた」と繰り返し述べている。これについて、ハティブザデ氏は、イスラエルがイランに攻撃を仕掛けて「交渉を妨害した」のだと反論した。
「我々は(オマーンの首都)マスカットで、6回目の核協議を行う予定だったし、実際、合意寸前だった」
「トランプ大統領は、誰よりもそのことを分かっているはずだ。我々が合意寸前まで来ていたことを」と、ハティブザデ氏は述べた。
さらに、トランプ氏は「混乱を招く、矛盾した」内容をソーシャルメディアに投稿したり、インタビューで語ったりしていると批判。「アメリカが(この紛争を)認識し、関与してきた」ことを示すものだとした。
イランの核開発をめぐってはイスラエルが、イランが最近、「濃縮ウランの備蓄を兵器化する措置を講じた」と主張している。
国際原子力機関(IAEA)も、イランが最大60%の濃度まで濃縮されたウランを、核兵器の製造を可能とする量まで備蓄しているとしている。
しかしイランは、自国の核開発計画は平和目的だと一貫して主張している。
ハティブザデ氏は、イスラエルなどの主張は「ナンセンス」だと反論。「推測や意図を根拠に戦争を始めることがあってはならない」とした。
また、「核爆弾が欲しければ、我々はとっくに手に入れていた」、「イランは、平和的な核活動を核兵器にするような計画を展開したことは、一度もない。そういうことだ」と、ハティブザデ氏は述べた。