
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は22日、パレスチナ・ガザ地区から、イスラエル人の人質3人の遺体を収容したと発表した。
ネタニヤフ氏によると、3人はヨナタン・サメラノ氏、オフラ・ケイダル氏、シャイ・レヴィンソン2等軍曹。21日の軍事作戦で、遺体を収容したという。
ネタニヤフ氏は声明で、「司令官と兵士らに、作戦の成功と、各自の決意と勇気について感謝する」と述べた。
イスラエル国防軍(IDF)は今月に入ってから人質8人の遺体をガザで収容している。
ネタニヤフ氏は、「連れ去られた人々を帰還させる作戦を継続しており、イランに対する作戦と並行して実施している」、「生存者と死者の全員を帰還させるまで、私たちが休むことはない」とした。
IDFは、今回の3人の遺体がガザ地区のどこで発見されたかは明らかにしていない。
ケイダル氏は、イスラエルのキブツ(農業共同体)で殺害され、遺体がガザに運ばれた。当時71歳だった。
レヴィンソン2等軍曹は「10月7日の朝、テロリストと交戦し、戦闘中に死亡した」と、IDFは説明した。当時19歳だったという。
サメラノ氏については、父親が22日、遺体がイスラエル軍によって収容されたとインスタグラムで公表。「昨日はヨナティのユダヤ暦の誕生日だった。23歳の誕生日、まさに彼が生まれた日に、私たちのヨナティは、IDFの勇敢な兵士らとシンベト(保安機関)の英雄的な作戦で救出された」と書いた。
なお待ち続ける家族も
人質の親族らの一部などでつくる「人質・行方不明者家族フォーラム」は、「私たちの心は今日、ケイダル一家、サメラノ一家、レヴィンソン一家と共にある」とする声明を発表。
「3人の帰還は、悲しみと痛みとともに、625日間にわたって苦悩と不安と疑念の中で待ち続けてきた家族に、いくらかの慰めを与えるものだ」とした。
また、「イランで軍事的展開と重要な成果がみられている今こそ、残りの人質50人を帰還させることが、イスラエルの完全勝利達成の鍵だと強調したい」、「最後の人質が戻るまで勝利はない」と訴えた。
イスラエルは、2023年10月7日にハマス主導の越境攻撃を受けた。この攻撃で約1200人が殺され、251人を人質に取られた。イスラエルは対抗し、ガザで軍事作戦を開始した。
ハマスが運営するガザ保健当局によると、この戦争でガザではこれまでに少なくとも5万4677人が殺害された。
ハマスに連れ去られた人のうち、54人ほどが拘束されたままとなっている。これには、すでに死亡したとイスラエル軍が説明している31人が含まれている。