
ケニア各地で25日、ウィリアム・ルト政権に抗議する大規模デモが行われ、少なくとも8人が死亡、400人が負傷した。
当局はこれまでのところ、死傷者数を公表していない。しかし、ケニア医師会やケニア法曹協会、警察改革ワーキンググループの共同声明によると、少なくとも8人のデモ参加者が死亡し、400人以上が負傷した。
負傷者のうち83人は専門的な治療を必要とし、8人は銃撃で負傷した。警察官3人も負傷したという。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのケニア支部は、死者数を16人と発表している。
警察とデモ参加者らの衝突は、首都ナイロビをはじめとする複数の都市で起きた。ケニアではちょうど1年間前のこの日、財政法案に反対する抗議デモが起き、多数の死傷者が出た。
昨年の反政府デモから1年の節目のこの日、多くの抗議者は「ルトは退陣せよ」と叫び、平和的な抵抗の象徴として木の枝を振るなどした。
政府は先に、デモの様子をテレビやラジオで生中継することを禁止したが、ナイロビの高等裁判所がこの措置を違憲とする判断を示した。
ルト大統領は平和と安定を脅かさないよう呼びかけた。群衆は大統領公邸を目指したが、警察に押し戻された。
「抗議はケニアの平和を破壊するものであってはならない。我々は、物事がうまくいかないからといって、ほかの国に行くことはできない。自国の安全を守ることが、我々の責任だ」と、ルト氏は沿岸部のキリフィ県での埋葬式で述べた。
首都ナイロビでは、ルト氏不在の大統領公邸などを襲撃すると、若い参加者が警告した。
警察はバリケードと有刺鉄線を設置して、大統領公邸や議事堂につながる主要道路を封鎖した。
「子どもの未来のために戦う」
デモに参加したアミナ・ムデさんはBBCに対し、「子供たちの未来のために戦うために」デモに加わったと語った。
「国の方向性が間違っていると感じている。特に教育や、今起きているあらゆることが」と、彼女は述べた。
「今こそ、国と指導者たちが私たちの声に耳を傾けるべきだ」
ナイロビの状況をとらえた動画では、催涙ガスが建物の間を漂い、デモ参加者がせき込み、目を覆いながら急いで避難する様子が映っている。
デモ参加者が行進するナイロビ中心部では、店舗のシャッターは閉まり、通りは閑散としていた。
議事堂を囲むフェンスには、昨年この場所で起きた抗議で命を落とした人々を悼む家族や、政府に反発する若者の手書きのメッセージや花輪が並んでいた。
ケニア国旗をまとった若い女性は、昨年の抗議デモで、治安部隊によって殺害された人々の名前が書かれたポスターを握りしめていた。
(英語記事 At least eight killed and hundreds hurt as Kenya protesters battle police)