
イスラム組織ハマスの幹部は25日、パレスチナ・ガザ地区における新たな停戦と人質の解放に向け、仲介者らが動きを活発化させているとBBCに話した。ただ、イスラエルとの交渉は依然として停滞しているとした。
ガザで続く紛争をめぐっては、アメリカのドナルド・トランプ大統領が25日、イスラエルとイランの「12日間戦争」が24日に終わってから「大きな進展」がみられると、ベルギー・ブリュッセルで記者団に話した。トランプ氏はまた、中東担当のスティーヴ・ウィトコフ米特使も、イスラエルとハマスの合意は「非常に近い」とみていると述べた。
この発言の直後、ハマス幹部はBBCに、「停戦合意に達することを目的とした集中的なやり取り」を仲介者らが進めていると説明。「今のところは、新たな提案は受けていない」と話した。
イスラエル政府高官は、同国の新聞ハアレツに、交渉に進展はなく、主な意見の相違は未解決のままだと話した。
ガザでの停戦をめぐる交渉はこれまで、アメリカ、カタール、エジプトが仲介してきたが、5月末以降、滞っている。ウィトコフ氏によると、アメリカが出し、イスラエルが支持している60日間の停戦案に、ハマスは「まったく受け入れられない」修正を求めているという。この案では、停戦期間中に、イスラエル人の人質の生存者と死者をそれぞれ半数ずつ解放するとしている。
ガザで連日多数の死傷者
ガザ地区とイスラエルでは、死傷者が出続けている。
ハマスが運営するガザ保健当局によると、ガザ各地で25日にあったイスラエル軍による攻撃では、支援物資を手に入れようとしていたパレスチナ人を含め、少なくとも45人が死亡した。
一方、イスラエル軍は、ハマスによる爆弾攻撃が24日にあり、兵士7人が殺害されたと発表した。
国連や支援団体は、イスラエルとアメリカが主導する「ガザ人道財団(GHF)」による支援物資の配給拠点付近でパレスチナ人が殺害されたとの報告がほぼ毎日上がっていることに、警戒感を示してる。
ガザ保健当局によると、GHFが支援物資の配給を始めた5月26日以降、物資を受け取ろうとして死亡した人は少なくとも549人、けがを負った人は約4000人に上っているという。
ハマスが運営する民間防衛隊の広報担当は25日朝、イスラエル軍がガザ中部のGHFの配給所近くで待機していた群衆に発砲し、6人が死亡したと述べた。また、南部ラファのGHF施設の近くでも3人が殺されたとした。
これに対しイスラエル軍は、「それらの地域で死傷者が出た出来事は把握していない」とした。GHFも、死傷者が出たなとどする報告は虚偽だとした。
ハマスは2023年10月7日にイスラエルを攻撃し、約1200人を殺害、251人を人質に取った。イスラエル軍はこれに対抗し、ガザで軍事作戦を開始。以来、ガザでは少なくとも5万6157人が殺害されたと、ガザ保健当局は発表している。
(英語記事 Gaza mediators intensifying ceasefire efforts, Hamas official says)