2025年7月16日(水)

BBC News

2025年6月27日

コウ・ユー、BBCニュース(シンガポール)

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、先週末に実施したイランへの攻撃、第2次世界大戦の終結につながった広島と長崎への原爆投下になぞらえる発言をし、日本で非難の声が上がっている。

トランプ氏は25日、「あの一撃で戦争は終わった」、「広島の例は使いたくないし、長崎の例も使いたくないが、本質的には同じだ」と記者団に話した。

1945年8月の原爆投下では、広島で約14万人、長崎で約7万人が死亡した。被爆者は今日に至るまで、心理的トラウマやがんのリスクに悩まされている。

トランプ氏の発言を受け、長崎市の鈴木史朗市長は26日、「仮に原爆投下を正当化するものであるとすれば、被爆地として大変遺憾に思う」と話した。

NHKによると、ノーベル平和賞を受賞した「日本原水爆被害者団体協議会」(日本被団協)の代表委員を務める被爆者の箕牧智之氏は、「受け入れられる発言ではない」と述べた。

日本被団協の横山照子代表理事も、「原爆投下はどういう理由があってもやってはいけないことで、正当化するような発言には怒りしかない」と話した。

被爆者たちは26日、広島で抗議行動を起こし、トランプ氏に発言の撤回を求めた。

広島市議会も同日、原爆使用を正当化する発言を看過、容認することはできないとする決議を可決した。決議は、すべての武力紛争の平和的解決を強く求めるとしている。

林芳正官房長官は同日の記者会見で、トランプ氏の発言について政府として苦情を申し立てるかと問われ、日本の考え方は、「累次の機会に米側に伝達している」と答えた。

トランプ氏の発言は、アメリカのイラン攻撃は核開発計画を数カ月遅らせただけだとする、リーク情報に基づく報道に反論する流れの中で出た。

トランプ氏は、アメリカの攻撃はイランの核開発計画を「抹消し」、「何十年も」後退させたと主張していた。米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官も、この見方を支持している

日本は世界で唯一の被爆国で、広島と長崎への原爆投下は痛ましい記憶を呼び起こす。

広島の平和記念公園では、核兵器反対を象徴する「平和の灯」が1960年代から燃え続けている。広島平和記念資料館の入り口には、広島への原爆投下からの日数と、最後の核実験からの日数を数える時計が設置されいる。

広島を訪れる世界の指導者らは、平和への誓いを強固なものにするための折り鶴を折るよう求められる。

(英語記事 Outrage as Trump compares Iran strikes to Japan atomic bombing

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cy5wrr93007o


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