アメリカのドナルド・トランプ大統領は1日、フロリダ州の湿地帯に新設された移民収容施設を視察した。ロン・デサンティス州知事や、クリスティ・ノーム国土安全保障長官らが同行した。
フロリダ州エヴァーグレーズにあるこの施設は「アリゲーター・アルカトラズ」と呼ばれている。周辺の湿地帯にはワニやニシキヘビなどが生息する。そのため、収容施設からの脱走を防ぐことができると、トランプ政権は主張している。
施設を視察したトランプ氏は、ここに間もなく最も「危険な移民」が収容される、その中には「地球上でもっとも凶悪な者たち」が含まれると述べた。
「ここは何マイルにもわたり、危険が潜む湿地帯に囲まれている。ここから脱出する唯一の方法は、国外追放だけだ」
トランプ氏は自分だったら「エヴァーグレーズで、長い距離を走りたくない」とも述べ、それを試みる者は「ワニの姿をした大勢の警官」に遭遇するだろうとした。
トランプ氏とノーム国土安全保障長官は、この施設が、許可なく滞在している移民に自発的な出国を促すことを確信していると、繰り返し述べている。
エヴァーグレーズの施設についてトランプ氏は、将来的な同様の施設のモデルになる可能性があるとも述べた。トランプ政権は、ルイジアナなどの共和党が多数党の複数の州と積極的に連携し、施設設置の適切な場所を探しているという。
デサンティス州知事によると、「アリゲーター・アルカトラズ」は8日間で建設された。2日にも最初の移民が移送されるという。
同施設には3000人が収納可能。
フロリダ州ジャクソンヴィル近郊にも、二つ目の施設(2000人収容)が建設される予定。
フロリダ州の一部議員や市長、近隣住民や環境保護団体からは、重要な生態系に悪影響を及ぼす可能性があるとして、「アリゲーター・アルカトラズ」建設への反発の声が上がっている。
施設の近くで暮らす人は、一時的だとされる施設が永久的に残ることを懸念していると、BBCに語った。
この住民は、ワニが普段泳いでいるという運河のそばで、「環境破壊を非常に心配している」と話した。
専門家たちは、湿地帯や絶滅危惧種が影響を受ければ、フロリダ州がエヴァーグレーズの環境修復のために数十億ドルを投じてきた取り組みが台無しになるかもしれないと警告している。
同地域には、フロリダパンサーやニシインドマナティなどの絶滅の恐れがある生物が生息している。
生物多様性センターの弁護士エリゼ・パウトラー・ベネット氏によると、エヴァーグレーズは「フロリダで最も影響を受けやすい場所」で、そこに収容施設を建設するのにはリスクが伴うという。
「エヴァーグレーズで提案された計画であれば、厳しい環境審査プロセスを経たはずだ。この計画は政治的なパフォーマンスなので、そうした審査を受けなかったのだと、私は確信している」と、ベネット氏はBBCに語った。