2025年7月16日(水)

BBC News

2025年7月2日

日本ではイチゴサンドは珍しくないが、イギリスではこれまで一般的ではなかった

グレイス・ディーン BBCニュース

イチゴとクリーム。イギリスでは1800年代から人気の定番コンビだ。しかし、サンドイッチの中身としてはどうだろう。

その「イチゴとクリームのサンドイッチ」を、イギリスの小売り大手「マークス・アンド・スペンサー(M&S)」が6月下旬から販売している。イチゴ、ホイップしたクリームチーズ、甘いパンを組み合わせた限定版で、M&Sは「ネットで話題の、日本の『フルーツサンド(fruit sando)』」をヒントにしたと説明。同社によると、販売開始から2日の時点で、一番売れているサンドイッチになった。

イギリスにある日本パン店の中には、イチゴサンドを置いているところもあるが、イギリス各地のスーパーで広く展開するのはM&Sが初めてのようだ。

サンドイッチに果物を入れるというのは、珍しい発想に思えるかもしれないが、日本では決して目新しくない。日本では果物店が、商品の果物を客に食べてもらうためにパーラーを併設し、そこでデザートを提供するようになる流れの中で、フルーツサンドが人気を博した。

最近ではソーシャルメディアで大いに話題になり、世界中で注目され、試してみたいという人が日本以外で増えている。特にTikTok上では、日本のコンビニチェーン「セブン-イレブン」が販売するフルーツサンドを求めて、西側諸国の観光客が一生懸命になっている様子が見られる。

ロンドンで日本料理店「KOYA」を営む小田周子さんによると、フルーツサンドは通常、ふわふわで柔らかい甘くて白いパンに、ホイップクリームと果物(主にイチゴやミカン)を挟んで作る。果物がよく見えるように、三角形にカットして盛り付けることが多い。

「見た目がとてもきれい」なのだと、小田さんは話す。「食感が楽しい」のも魅力だと言う。

日本では自宅で作る人もいるが、コンビニや食品売り場、フルーツサンド専門店などで買うのが、一般的だと小田さんは話す。紅茶やコーヒーと一緒に軽食として楽しんだり、塩味のある総菜系のサンドイッチと一緒に食べたりするのだという。

イギリスでも、果物とパンを組み合わせたサンドイッチは、実は思うほど珍しくはない。例えば、バナナをスライスしたり、つぶしたりしたものをパンに挟むバナナサンドがある。あるいは、子供のころを思い出す懐かしいジャムサンドも。

コロネーション・チキンサンドは、カレーやマヨネーズで味付けしたチキンをパンに挟むが、乾燥アプリコットや干しブドウが使われることもある。

そもそも、サンドイッチとは何なのか。具材は、甘くない総菜系でなくてはならないのか。さらに言えば、小麦粉で作るいわゆるパンを使わなくてはならないのか。パンを使わないものといえば例えば、揚げたプランテン(料理用バナナ)で作る「ヒバリート」がある。

そして、北欧のオープンサンドはどうだろう? オープンサンドもサンドイッチだというなら、フルーツをのせてソースをかけたフレンチトーストも、サンドイッチと呼べるのではないか。

オックスフォード英語辞典(OED)によると、サンドイッチとは通常バターを塗った2枚の薄いパンに「甘くない味わいの(中略)あるいはその他の具材」を挟んだものと定義されている。

人類はもう何千年も前からパンを作ってきたが、現在の姿のサンドイッチが人気を得たのは、第4代サンドイッチ伯爵ジョン・モンタギューのおかげとされている。伝えられる逸話によると、伯爵は食事のため中断することなくトランプのゲームが続けられるよう、パン2枚に肉を挟んで持ってくるよう、スタッフに頼んだということになっている。

イギリスで私たちが食べるサンドイッチの中には、イギリス以外の人たちに驚かれてしまうようなものもある。例えば、イギリスでは「クリスプ」と呼ぶポテトチップスを挟んだ「クリスプ・サーニー」(訳注:サーニーは、サンドイッチのくだけた言い方)や、前出のコロネーション・チキンサンド。あるいは、イギリスでは「チップス」と呼ぶポテトフライをパンに挟んだ、素朴な「チップ・バティ」もそうだ。

一方で、日本の「イチゴサンド」に触発されて、もっとさまざまなサンドイッチを試してみたいという人もいるかもしれない。そこで以下では、世界各地のユニークなサンドイッチを紹介する。

バインミー

ヴェトナムの「バインミー」は、バゲットに肉、パテ、ピクルス、スパイシーなソースを挟んだサンドイッチで、朝食として食べられることが多い。

BBCフードは、甘辛い豚バラ肉とチリソースを使ったレシピを紹介している(英語)。

クロックムッシュ

フランスの「クロックムッシュ」は、グリルで熱々に焼いたサンドイッチを、とろとろに溶けたチーズと一緒に食べる。パンの間には、ホワイトソース、チーズ、ハム、マスタードを挟む。

目先を変えてみたければ、上に目玉焼きを乗せると「クロックマダム」になる。

ポーボーイ

「ポーボーイ」は「プア・ボーイ(貧しい少年)」という表現に由来する、アメリカ南部ニューオーリンズのストリートフード。ルイジアナ州名物のシーフードをおいしく食べるサンドイッチだ。

多彩な具材を工夫することができるバラエティー豊かなサンドイッチで、特に人気なのは揚げたエビ、カニ、ロブスターなど。マヨネーズにマスタードやピクルスなどを加えたレムラード・ソースを味付けに、レタスやピクルスと一緒にパンに挟む。

BBCフードは、冷凍テナガエビを使った、家庭で簡単に作れるレシピを紹介している。

アレパ

「アレパ」は、小麦粉ではなく、トウモロコシ粉で作るパン。コロンビアでも人気だが、特にヴェネズエラではサンドイッチにして食べることが多い。具材としてはたとえば、鶏肉、アボカド、パクチーを組み合わせた「レイナ・ペピアーダ」が人気だ。

スパゲッティ・パンに焼きそばパン

炭水化物に炭水化物を合わせて一緒に食べるのは、イギリスではおなじみのことで、オーストラリアの「スパゲッティ・ジャッフル」も同じ原理でできている。これは、トマトソースで和えた残り物のスパゲッティを、トーストサンドにしたものだ。

そして日本全国のコンビニでは、焼きそばをホットドッグ用のバンズに挟んだ「焼きそばパン」も手に入る。

フランセジーニャ

ポルトガル・ポルト発祥の「フランセジーニャ」は、チーズと肉を愛する人にとって、天国のような理想のサンドイッチだ。

軽くトーストしたパンにステーキ、ソーセージ、チーズ、ハムを挟み、上にさらにチーズをのせて、通常はオーブンで焼く。そしてその上に目玉焼きをのせる。仕上げとして、ポートワイン、ビール、トマトを使ったスパイシーなソースを全体にかける。

これだけでも十分なボリュームだが、通常はフライドポテトを添えて出される。

(追加取材: ポリー・ウィークスBBCフード記者)

(英語記事 Japan loves them. And now they're in the UK - strawberries and cream sandwiches

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cj3rrz5lgvdo


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