
米政府が1日、ウクライナへの武器供与の一部停止を発表したことについて、ウクライナは2日、同国での戦争をロシアが長引かせることになると懸念を示した。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、同国とアメリカが現在、「供与に関するすべての詳細を明確にしている」ところだと述べた。
ウクライナ外務省は、いかなる武器供与の遅延も「侵攻者に戦争とテロの継続を促すだけで、平和を求めることにはならない」と警告。ウクライナの防空強化の必要性を特に強調した。
同省は2日、在キーウの米外交官を招き、協議した。
ウクライナではほぼ毎晩、ロシアによるミサイルやドローン(無人機)を使った攻撃が続いている。
一方、ウクライナ国防省は、武器供与の「停止または見直し」について、アメリカから正式な通告を受けていないとした。そして、断片情報に基づく憶測を避けるよう呼びかけた。
ただ、同省は声明で、戦争終結への道は「侵攻者に一貫して共同で圧力をかけること」だとした。
アメリカのウクライナに対する武器供与の停止について、ホワイトハウスのアナ・ケリー報道官は1日、「国防総省による対外軍事支援の見直しを受け、アメリカの国益を最優先するための決定だ」と説明した。
2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、アメリカは、数百億ドル規模の軍事支援をウクライナに提供してきた。しかし、トランプ政権関係者の一部からは、国内の兵器備蓄が逼迫(ひっぱく)しているとの懸念の声が上がっている。
ロシアは供与停止を歓迎
ロシア政府は、アメリカの武器供与削減のニュースを歓迎。ウクライナに運び込まれる武器を減らすことが、紛争の早期終結につながるとした。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は、「ウクライナに届けられる武器の数が少ないほど、特別軍事作戦の終了は近くなる」と記者団に話した。
ロシアは現在、ウクライナ領土のおよそ2割を支配している(2014年併合のクリミア半島も含む)。
ロシア軍は多大な損失を被っているが、ここ数カ月、ウクライナ東部で徐々に前進を続けており、ルハンシク州を完全に掌握したと主張している。また、南東部のドニプロペトロウシク州でも領土を制圧したと発表している。
一方、ウクライナ与党議員のフェディール・ヴェニスラフスキー氏は、今回のアメリカの決定について、「厳しいもので、ロシアがウクライナにテロ攻撃を行っている状況を背景に発表された。(中略)非常に好ましくない状況だ」と述べた。
AFP通信は、ウクライナ軍関係者が、「(ウクライナは)アメリカの武器供給に深刻に依存している。ヨーロッパは最善を尽くしているが、アメリカの弾薬なしでは難しい」と話したと伝えた。
(英語記事 Ukraine fears increased Russian aggression after US halt of weapons supply)