
鹿児島県のトカラ列島近海で、3日午後までの約2週間で1000回を超える地震が発生している。住民らは不安から夜も眠れなくなっている。
3日午後4時13分ごろには、鹿児島県十島村で震度6弱の揺れを観測する地震が起きた。気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は推定5.5。発生場所はトカラ列島近海、震源の深さは約20キロ。この地震による津波の心配はないという。
2日にも、トカラ列島近海でM5.5と推定される地震があり、十島村で震度5弱を観測した。気象庁は、トカラ列島付近で先月21日以降、地震活動が非常に活発になっているとしている。
現地メディアによると、トカラ列島近海では過去にも群発地震があったが、このところの揺れの頻度は異常だという。
これまでのところ被害の報告はない。津波の注意報や警報は出ていないが、当局は住民に、必要な場合に避難できるよう準備を呼びかけている。
トカラ列島は12の島があり、うち7島に計約700人が住んでいる。一部の島には病院がなく、最寄りの病院はフェリーで最低6時間かかる鹿児島市というところもある。
悪石島の住民は、「ずっと続いて揺れているから、眠るのが怖い」などと、現地放送局MBCに話した。
悪石島に住む有川ちづ子さん(54)は、「地震が来る前に海からゴーッと音がする。夜寝てるとよく分かります。不気味な音」と朝日新聞に話した。
夫婦で畜産業を営み、海沿いの土地で牛の牧畜をしている有川さんは、「みんな疲れている。早く終わってほしい」と同紙に言った。
悪石島自治会長の坂元勇さん(60)は同紙に、「これだけ続くと、揺れてなくても、ずっと揺れてるような気がする」、「今回の地震は下からドンと来て、それからグラグラと揺れる。気持ち悪いんですよね」と話した。
十島村の役場はウェブサイトで、睡眠不足で疲れている住民もいるとし、メディアに対し、「現地への問い合わせ取材等は、過度にならないよう」配慮してほしいと呼びかけた。
同役場のサイトはまた、地震の影響で一部の民宿では観光客の受け入れを中止しており、簡易宿泊できる公共施設についても、地元住民が避難所として利用する可能性があるため、宿泊を断る場合があるとしている。
現在の地震の群発は、死者が出る巨大地震が間もなく発生するかもしれないとのうわさで日本が緊張する中で起きている。
このうわさは、漫画家・たつき諒さんによる1999年の作品から広がった。2021年に「私が見た未来 完全版」として新たに出版され、その中で次の大地震は今年7月5日に起こるなどとした。そうした憶測は一部の観光客をおびえさせている。いくつかのメディアは、旅行のキャンセルが相次いでいると報じている。
日本は最も地震が多い国の一つ。環太平洋火山帯と呼ばれる、多くのプレートが接する場所に位置している。毎年1500回程度の地震が観測されている。
日本で起きる地震の大半は穏やかなものだ。だが、2011年に東北沿岸に大津波を引き起こし、1万8000人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災のように、甚大な被害をもたらすものもある。
当局は数十年前から、100年に一度の巨大地震とされる南海トラフ地震について警告を発している。内閣府の中央防災会議は、死者を最大30万人以上と想定している。
日本政府は今週、こうした災害への備えを強化するため、堤防や避難ビルの建設などの新たな対策を求めた。同時に、もっと多くの取り組みが必要だと警告した。
(英語記事 Japan islanders sleepless after 900 earthquakes in two weeks)