2025年7月16日(水)

BBC News

2025年7月4日

スターマー英首相が代表質問に答える間、後ろで涙を流し続けたリーヴス財務相(2日、イギリス下院)

イギリスのレイチェル・リーヴス財務相は2日、毎週恒例の「首相への質問の時間(PMQ)」に出席した。そして、キア・スターマー首相が答弁する間、その後ろに座り、長いこと涙を流していた。

ほほを伝わる涙をぬぐう財務相の姿を見た各地の人たちは、それぞれに分析し、意見を交わしている。

リーヴス氏自身は自分が泣いていたのは、「大変な一日だった」からだと言い、政治とは関係のない個人的な理由によるものだと説明している。

では、財務相の地元選挙区、イングランド北部にあるリーズ・ウエストの有権者たちは、自分たちの代表が公の場で感情をあらわにしたことについて、どう思っているのか。現地で尋ねてみた。

40歳のニック・シンプソン氏は、リーヴス氏が公の場で見るからに動揺している姿を目にするのは、「つらかった」と話した。

「私たちは当然、政治家に多くを求めている。それでも、つらくて大変になってしまうことがあるのは、特に仕事でそうなってしまうのは、誰だって共感できる」とシンプソン氏は言う。

「時には、泣くことも必要だ。泣いた後は気分が良くなるし、泣いて前より気分が悪くなったことは自分は覚えがないので、だから彼女の気持ちが前より楽になっていればいいと思う」とも、シンプソン氏は話した。

リーヴス氏は3日、スターマー首相と一緒に政府の国民健康サービス(NHS)10カ年計画を発表した際、涙の原因については明かさなかった。その代わり、「個人的な問題」を抱えていたのだと述べ、「今日は新しい一日なので、仕事をぐいぐい進めている」と話した。

また、「水曜日の正午に財務相として私がすべきことは、首相の隣に座って政府を支えることだ。それが私の務めで、そうしようとした」と述べた。

リーズ出身のケヴィン・ロブリーさんも、財務相がなぜ動揺していたのか、その理由を公表する理由はないという意見だった。

「泣きたいなら、それは私たちがどうこう言うことじゃない」とロブリーさんは言い、「もし何か個人的なことがあったのなら、その点は彼女に同情する」と述べた。

一方で、サラ・キルナー氏は、誰にでも仕事でつらい日はあるものの、それにどう対処するかは人それぞれだと言う。

キルナー氏は、「あのような場で議員があんな状態になるのは、本当に奇妙なことだと思う。でも彼女にも私生活があるのだから、理由を明かす必要はない」と述べた。

「私が職場にいて、つらい日だったとしても、誰かに話さなくてはならないとは思わない。でも同時に、誰にも気づかれないようにすると思う」と、キルナー氏は付け加えた。

トミー・ホーナー氏とシャーリー・ホーナー氏の夫妻は、政治家があれほど感情を表に出すことについて、複雑な思いを抱いていた。

トミー氏は、財務相が議会であのような姿を見せたことに「ショックを受けた」と話した。「あの場では誰もが冷静で落ち着いて、何もかも把握しているべきなので」。

一方、妻のシャーリー氏はリーヴス氏が泣く姿に同情したし、「彼女個人のことが、とても気の毒になった」のだという。

「彼女が明らかに泣いていたのに、誰もなぐさめていなかった。泣くことは、別に悪くない。私たちはみんな人間なんだし。なのにお互いへのあんな態度は良くない」とシャーリー氏は述べた。

隣接するリーズ・ノース・ウエスト選挙区の労働党議員で、リーヴス氏の友人でもあるケイティ・ホワイト氏は、財務相が「とんでもないプレッシャー」にさらされていると話す。

とりわけ、党内でも異論の多かった、スターマー政権による福祉給付制度改革法案について、2日に下院で第二読会が行われた後には、そのプレッシャーはひどくなったのだという。

「誰にでもつらい日はある。それはまったく普通のことだ。人間なんだから。けれども時に、政治家も、特にトップに立つ政治家たちも人間なのだと、私たちと同じように人生をやりくりしているのだと、多くの人が忘れてしまいがちだと思う」と、ホワイト議員は語った。

「レイチェルや政府の中枢にいる人々には、とてつもないプレッシャーがかかっている。国を変えようとするのは難しい作業で、緊迫するのは当然だ。困難な選択が待ち受けているけれども、党執行部のリーダーシップは強力なので、私たちは前進する」

(英語記事 'We all struggle' - Constituents support chancellor after Commons tears

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/cvg909v0rr2o


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