2024年5月4日(土)

BBC News

2024年4月24日

ジェイムズ・ウォーターハウス(キーウ)、ポール・カービー(ロンドン)、BBCニュース

ウクライナ政府は、兵士の動員を強化する施策の一環として、国外にいる18歳から60歳までの男性国民に対する領事サービスを停止する。

ドミトロ・クレバ外相は、ウクライナ人の権利を守ることは依然として重要だが、ロシアの全面侵攻を受けている間は「祖国を破壊から守ることが最優先だ」と述べた。

ロシアは戦場での兵力と武器において、ウクライナを大きくしのいでいる。

ウクライナ政府は昨年12月に在外ウクライナ人男性に帰国を「呼びかけた」後、彼らが国外で受ける可能性のある重要なサービスを拒否することで、さらに圧力をかけようとしているとみられる。

今月12日に物議を醸す新動員法が可決されたことで、政府は不人気な決定を気にする段階を過ぎたようにみえる。この法律で政府は、動員年齢を27歳から25歳に引き下げた。

クレバ外相はソーシャルメディアで、ウクライナの兵役年齢にある男性に対し、国内外を問わず「公平な態度」を取り戻すと書いている。

同外相は、兵役年齢の男性たちがウクライナを後にしながらも、国からサービスを受けようとしていると指摘。「そうはいかない。我々の国は戦争中だ」と述べた。

今回の領事サービスの制限の対象範囲はまだ明らかではない。国外にいるウクライナ人男性の多くは、障害があったり、3人以上の子供がいたりといった正当な理由で戦闘を免除されている。

外務省高官が署名した書簡によると、領事館はウクライナ人男性に対し、帰国に必要な文書のみ発行する。これとは別に、ウクライナ国外での生体認証パスポートの発行は、「技術的な理由で」保留されていたと、国営のパスポート当局が発表した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、冬に東部アウディイウカから撤退した後、数週間以内にロシアによる全面攻撃が予想されると述べていた。

ウクライナ軍は、22日だけで86カ所で戦闘があったと述べている。

アメリカの連邦上院は23日に、ウクライナに608億ドル(約9.4兆円)の軍事支援を提供する予算案を可決した。 しかしウクライナ政府は、1000キロメートル以上に及ぶ前線を防衛するため、追加の兵力を切実に必要としている。

ウクライナの各都市の街頭には、祖国を守るために志願するよう兵士たちが促すポスターが貼られている。

しかし志願したい人たちはとっくに志願し、前線で死んでいるか、負傷しているか、疲れ果てているかのいずれかだ。

政府高官らは、ローテーション・モデルを重視する代わりに、誰もが自分の役割を果たすべきだと述べている。

しかし、新しい動員法に対する主な批判は、兵役期間の制限がないことだ。

この新しい法律、敵が支配的な前線、徴兵をめぐる汚職などが重なり、兵役年齢の男性たちが何十万人も、国外に脱出せざるを得なくなっている。

国連の難民当局の推計によると、640万人以上のウクライナ人が国外に脱出しており、大勢が欧州連合(EU)加盟国に滞在している。EUの統計局は、域内在住のウクライナ人430万人のうち20.6%が男性だとみている。

一方、調査会社「レーティング」が行った調査では、ウクライナ国民の62%が、戦時に国のために戦う準備ができていると答え、欧州では最も高かった。「いいえ」と答えたのは3分の1だった。

(英語記事 Ukraine war: Kyiv tightens pressure on fighting age men abroad

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4n1e3g41nlo


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